■ 日銀の資産統計のミスから明らかになった「ゆうちょ銀行」の投資信託保有額 ■
昨年8月10日の週刊朝日の記事「家計が持つ投信 33兆円も過大計上 日銀のミスで得したのは」です。(以前にこのブログでも紹介しています)
<一部引用>
ミスがわかったのは、家計や企業などの資金や資産の状況をまとめた「資金循環統計」。日銀が3カ月に1度公表していて、政策議論にも用いられる重要な統計だ。年1回調査方法を見直していて、6月下旬の改定作業で問題が発覚した。日銀は詳しい説明を拒んでいるが、ゆうちょ銀行の投信の保有額を過小評価していたことが主な原因のようだ。個人が投信を買い増しているはずだったのに、実はゆうちょ銀行が買っていたことになる。
日銀は過去にさかのぼって数字を修正。2017年12月時点でみると家計の投信の保有額は、109兆円から76兆円に減った。11年以降おおむね右肩上がりだったとみられていたものが、実は15年6月をピークに伸び悩んでいたのだ。
<引用終わり>
前回紹介した2017年度のゆうちょ銀行の資産内訳で、外債等は59兆円余りでしたが、2018年時点でその内の33兆円が投資信託である事が分かります。
リスクが高い割に儲からない為に、最近では老人ですら敬遠する投資信託をゆうちょ銀行は33兆円も保有しています。
リーマンショックの様な危機が起きれば、これらの投資信託の価値は大きく棄損します。
■ ゆうちょ銀行は米国債も大量に保有しているはず ■
日本国債の保有を減らす過程で、ゆうちょ銀行は米国債に資金を移していました。ドルと同等の信用力と流動性を有する米国債ですが、リスクが無い訳では在りません。それは為替変動。
リーマンショックの時には1ドル120円程度から76円程度まで急激に円高が進行しました。ドル建ての資産を保有していれば、価値は6割程度に減ってしまいます。米国10年債金利が2.5%程度ですから、為替変動を考えると米国債投資とてリスクが無い訳では在りません。
ただ、ゆうちょ銀行とて為替ヘッジをしていないとは考えられません。相応の対策はしていると思われますが、ヘッジとてコストが掛かります。2.5%の米国債金利は、実際にはもっとみすぼらしい金利になっているでしょう。
だから、ハイリスクな投資信託に投資してトータルでの金利を上げる必要があるのかもし知れません。
■ 4月1日から貯金の限度額は2600万円に拡大される ■
郵便貯金やゆうちょ銀行は、民間の銀行の業務を圧迫しない用に、貯金の限度額が1000万円まどという時代が長かった。確か2015年に1300万円まで限度額が引き上げられましたが、今年の4月1日から、一気に2600万円までに引き上げられます。
ゆうちょ銀行の親会社は日本郵政ですが、この株式の大半は政府が保有しています。その為、国民の多くは未だに、ゆうちょ銀行を「公的金融機関」と認識しています。「何かあったら国が救済してくれる」と誤解しています。
しかし、ゆうちょ銀行は民間銀行ですから何かあってもペイオフの範囲内の1000万円までしか貯金は保障されないハズです。ここは民間銀行との公平性を考えれば曲げられない。
ゆうちょ銀行は将来的に限度額をさらに引き上げたいとしていますが、その代わり、現在、日本郵政が9割保有するゆつよ銀行の株式保有率を2/3以下にする事が求められています。
■ 日銀が日本国債を買い、ゆうちょ銀行や日本の金融機関が米国債を買う ■
私は異次元緩和が始まった頃、「これは日本の金融機関に米国債を買わせるスキーム」だと書いていました。
それまで、日本の金融機関の多くが日本国債や日銀の当座預金でリスク無く金利を稼いでいましたが、ゼロ金利国債や、日銀当座預金のマイナス金利政策で、資金は追い出される結果となります。
安全資産枠であろうこれらの資金は、安全資産としての米国債に向かったと考えられます。ただ、民間の銀行や生保各社は、円高が進むと、慌てて米国債を売っていた。
私はゆうちょ銀行は、円安になてっても米国債を手放していなかったと妄想しています。何故なら、陰謀論的にはゆうちょ銀行の米国債保有は日本とアメリカの国策だから・・・。(妄想)
その意味においては、ゆうちょ銀行は未だに「公的金融機関」なのかも知れません。