イラストシリーズの第五弾です。
■ FRBは債務超過にならない ■
世界がラグビーのルールで試合をしている時に、一人だけボールを前に投げた選手が現れました。しかし、ホイッスルは鳴りません・・・。
良く見ると、彼はヘルメットを被り、プロテクターを身にまとっています。
彼の名はFRB。彼だけは別のルール試合をしていたのです・・・。
あまり注目されない記事ですが、重大は記事がロイターに載っていました。
<ロイターより引用>
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20110124-00000580-reu-bus_all
FRB、会計方針変更で破綻の可能性が遠のく
1月24日(月)15時35分配信 ロイター
1月21日、FRBは、大きな意味合いを持ちながらもほとんど知られていない会計方針の変更を実施。写真はワシントンにあるFRBの建物。2009年12月撮影(2011年 ロイター/Hyungwon Kang)
変更によってFRBが破産状態に陥る可能性は大幅に後退したが、保有する巨額の債券について損失を被るのではないかとの懸念が、FRBによる方針変更の引き金になった可能性がある。
変更は、1月6日のバランスシートに関するFRB週間報告の中に専門用語を使ってひっそりと盛り込まれ、金融メディアが報じることもなかった。
しかし新ルールは、徐々に市場アナリストの関心を引き始めている。多くのアナリストはまず、FRBが独自の指針を設定できることに驚きながらも、世界で最も強力な中央銀行が、米財務省などに資金供与を求めなければならない事態に陥るという、ごくわずかながらも危険なリスクが回避できる可能性が強まったことに安どしている。
ストーン・アンド・マッカーシー(ニュージャージー州)のマネジングディレクター、レイモンド・ストーン氏は「FRBが破産する可能性はあるか。この質問に対する答えは『イエス』だったが、今は『ノー』だ」と指摘。「会計方法の変更で、FRBは資本を毀損(きそん)することなく、大幅な損失を計上することができるようになるだろう」と述べた。
変更により、FRBは、FRB制度を構成するさまざまな地区連銀による損失を資本に対する損失としてではなく、財務省に対する負債として表示することが可能となる。またその後、FRBのオペレーションから得た将来的な利益を負債と相殺することになる。
(後略)
<引用終わり>
① FRBは損失が発生しても、FRBの資本は毀損しない
② FRBは無限に米国債を購入しても債務超過に陥らない
この法改正により、ロン・ポールらの茶会派がFRBを監査しても、FRBは債務超過と評価される心配は無くなりました。
尤も、FRBが無限に米国債を購入すれば、市場での米国債は暴落し、プリンティングマネーと化したドルの信用は失墜します。(既にそうなっていますが・・・)
■ フレディーマックとファニーメイが潰される?! ■
先週、ガイトナー財務長官が気になる発言をしています。
<ブルームバーグより引用>
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=ap.mt5X95sFU
ファニーメイなど住宅金融2社の廃止も選択肢-米政府改革案
2月9日(ブルームバーグ):ガイトナー米財務長官は住宅金融への政府の関与を減らし、政府支援機関(GSE)であるファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の役割を縮小する3つの選択肢を議会に提案する方針だ。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。
オバマ政権の当局者1人が8日、改革案が公表されていないことを理由に匿名で語ったところでは、ガイトナー財務長官は11日にも住宅金融の改革案を公表する見通し。オバマ大統領は8日、財務長官や他の補佐官らとホワイトハウスで改革案について最終的な詰めの協議を行った。
改革案の内容に詳しい関係者2人によれば、3つの案には、政府系住宅金融2社と両社が政府の支援を受けて提供する住宅ローン保証を廃止する選択肢も含まれる。ただ、別の選択肢は現行制度により忠実な提案となるもようだ。
政府が今回公表する報告書は、法案ではなく、改革の選択肢を提示することによって、住宅金融市場に民間資本を呼び戻し、住宅ローン担保証券(MBS)の保証で政府が果たす役割を縮小する道筋を示す狙いがある。
政府当局者と他の2人の関係者によれば、民間資本の参入を促す手段として、住宅金融2社が請求する保険料の引き上げや、1兆5000億ドル(約123兆6000億円)近くに膨らむ両社の資産ポートフォリオの中の住宅ローンを減らすことを求める案も提示される見込み。また、GSEが保証できるローンの上限引き下げが提案される可能性もある。
米政府は昨年7月に成立した米金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づき、ファニーメイとフレディマックへの納税者による支援を終わらせる改革案を議会に提出する必要がある。政府は2008年9月に両社を管理下に置き、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンに関連する損失を埋め合わせるため、1500億ドル(約12兆3500億円)余りの公的資金の投入を余儀なくされた。
<引用終わり>
これは法案では無く、改革案の提示なので、フレディーマックとファニーメイが即刻廃止される訳ではありません。
尤も、FRBはフレディーマックとファニーメイが破綻しても、所有するMBSによって発生する損失を、を政府に対する貸付として処理すれば、FRBが破綻する事はありません。
フレディーマックとファニーメイを潰せる状況は着々と準備されているのです。
この発言を受けてアメリカではMBSが値上がったようですが、私が定点観測に利用しているゴールドマンサックスの「妖精物語」という、ふざけた名前の投資信託では、運用先が国債からMBSに大きくシフトしています。
又、米政府とFRB、そしてゴールドマンがつるんでMBSの価格を吊り上げているのでしょう。ゴールドマンはその裏で、再びMBSの空売りを仕掛けていそうです。次のMBS危機はフレディーマックとファニーメイの命日になるかもしれません。
<くじけない ゴールドマン>
http://d.hatena.ne.jp/tennis575/20110207/1297090592
ゴールドマンは80億ドルのMBSを昨年12月から買い込んだようです。インサイダー企業ゴールドマンは米政権の政策を全て知って行動している事は明確です。
「妖精物語」の運用内容の月次レポートがネットに公開されるのは1ヶ月遅れですが、それでも世間の動きを2ヶ月先取りしています。運用リストからGSE各社の名前が消える時、MBS危機が訪れるのでしょう。
2010年5月 「妖精物語」月次レポート
2010年10月 「妖精物語」月次レポート
2010年12月 「妖精物語」月次レポート
昨年の10月以前に、既に国債からモゲージ債に投資先を変更している事が分かります。
■ MBSとそのCDSは危機の中心であり続ける ■
日本では多くの金融機関が大量のMBSとそのCDSを保有しています。
「人力でGO」では昨年3月に
「フレディーマックとファニーメイ・・・危機の中心」を載せています。
http://green.ap.teacup.com/applet/pekepon/20100326/archive
状況は当時も今も何ら変わっていません。
三菱東京UFJ銀行や、日本生命、農林中金は兆円単位のそれらの資産を保有しており、MBSの崩壊はこれらの企業の破綻を誘発します。
MBSのCDSを日本の地方自治体や信用金庫は大量に保有しています。
■ アメリカがルール ■
アメリカは試合が不利になると、選手が勝手にルールを変更してしまうチームです。
米国ではMBSのリスクは金融機関からFRBや連邦政府に付け替えられています。
FRBは損失を政府に付け替えています。
日本では危機は塩漬けにされたまま、崩壊の時を待っています。
・・・怖い、怖い・・・。