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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

シングルスピードで300Kmチャレンジ・・・ギブミードロップハンドル

2016-07-25 08:30:00 | 自転車/マラソン
 

■ シングルギアで300kmを走れるのか? ■






昨年は熱中症でヘロヘロになった300kmチャレンジ。あれから1年、色々な熱中症対策を導入しました。

1) 頭から水を浴びながら走る(ボトルの1本を真水に)
2) ミニッツメイドのマルチミビタミン&ミネラルを休憩時に1つ摂る
3) 日焼け止めクリームを塗る
4) 日焼け予防の長袖クールインナを着る
5) 11時~15時は全開走行は避ける

これらの効果があって、最近では走行中に目の前が何だか白く霞んできて・・・なんて事は無くなりました。ロングライドの後に体が1週間程度ダルくなる事もありません。

そこで日照時間の長いこの時期に恒例となった「300Kmチャレンジ」を敢行しました。ギア付バイクでは面白く無いので、シングルギアーで出かけます。輪行バックを持ていると途中で心が折れるかもしれないので、本日は家に置いていきます。まさに「背水の陣」で挑みます。

■ 小野田坂道の呪い? ■

朝3:30に浦安を出発しましたが、5:00頃から強烈なダルさに襲われます。この時間帯、徹夜仕事をしていても体温がグーっと下がって眠気が強くなる時間ですが、自転車を漕いでいても体の芯が眠くなる様です。勝手に「体が前の日と次の日を切り替える瞬間」と解釈していますが、体の奥深くでリセットが掛って再起動が始まるイメージ。眠い訳ではありませんが、ダルくて路肩に何度か停車する始末。

朝日を浴びてもシャッキリしません。こういう時は歌が一番。脳は音に敏感に反応します。スポーツ選手が力を入れる瞬間に叫ぶのも音で脳のリミッターを外す為。そこで思わず歌った歌がアニソンって・・・小野田坂道の呪いだろうか・・・。

■ 養老渓谷温泉郷の先に、その秘境はあった・・・ ■

養老渓谷到着は7:00。そろそろセミが鳴き始め、気温が上昇し始めます。ここから山道に入りますが、シングルギアなので劇坂の麻綿原は避けて裏清澄ルートを選びます。

いつもは老川十字路から筒森トンネルに登って行くのですが、本日は養老渓谷温泉郷から林道を使ってみます。今は崩れてしまいましたが、弘文洞と呼ばれる川回しのトンネル跡に向かう道です。

養老清澄ラインを右折するとすぐにトンネルが現れます。このトンネル、不自然に天井が高いのですが・・・なんとトンネルの上にトンネルの出口が・・・。



素掘りトンネルマニアに名高い「共栄トンネル」って、こんな所にあったのですね。多分、古いトンネルの下に、新たな素掘りトンネルを掘ったのでしょう。写真では観た事が有りますが・・・怖い・・・。

トンネルから先、急坂を登ると道は林の中へ。路面は所々ダートになっており、ブレーキに泥が詰まってシクロクロス状態・・・。
パンクに注意しながら進みます。すると、短い素掘りトンネル2連ちゃん。さらにその先には少し眺めの素掘りトンネルが。これ、凄いです。ディズニーのセンター・オブ・ジアースのリアルバージョンみたい。ドリルマシンで荒削りした様な岩肌。斜行する地層。ドロドロの路面。林道というよりは「坑道」と呼ぶに相応しい。




この先、道端をイノシシが掘り起こした場所では、猪突猛進攻撃に注意を払いながら筒森の集落へ到着。養老川の支流と並走する林道ですが、「秘境感」たっぷりな穴場。(秋には紅葉狩の観光客で賑わうのでしょう)

■ 鴨川はトロピカルムード満点のフェスティバル開催中 ■

裏清澄の最大斜度は8%程度。距離もそれ程長く無いのでシングルギアでも問題無く登れます。交通量も少ないので清澄山を最高時速70km/jで下り一路鴨川へ。

ビーチでは何やらトロピカルなフェステェバルを開催していました。ハワイにでもありそうな屋台が並んでいます。娘と合流して朝食を食べる事に。







和田にあるクジラサンドの店「和田パン」が出店していたので「クジラサンド」を注文します。なんと、これ1日4食限定だとか。和田は日本で5か所しか指定されていない近海クジラの水揚げ漁港です(網走、函館、鮎川(石巻)、和田(千葉)、太地(和歌山))

水揚げされるクジラは小型のツチクジラですが各港の割り当て頭数は多くは無いので、土クジラの肉はミンククジラよりも貴重品です。味はサッパリしています。一緒にパンに挟まっているのは地元和田のナス。このナスもしっかりした触感で味が凝縮されて美味。今度は是非、和田にあるお店に伺ってみたいと思います。(いつも前を通るのですが、「クジラ + サンドイッチ」という微妙な組合わせに勇気が今一つ足りなくて・・・)

鴨川で2時間ものんびりしてしまいました。明るいうちに千葉市街まで戻りたいのでちょっと休憩が長すぎたかな・・・。

■ 追い風に乗って・・・ ■ 

房総半島最南端の野島崎には追い風に乗ってあっと言う間に到着。






焼きそばとドリンクを買いましたが・・・気温が高くなって来ました。風向きも横風に変わりました。熱中症が怖いので27Km/hペースにダウンします。

洲崎を難なくクリアーして一路館山へ。気温と湿度は比較的低いのですが、容赦なく照りつける日差しがジワジワと気力を奪ってゆきます。(体力では無く)

館山に着いた時には輪行バックを家に置いて来た事を後悔し始めました。スマホで「館山 民宿 素泊まり」なんて検索する程には・・・。

それでも意を決して先に進みます。ビーチにはフンドシ姿の高校生の一団が・・。とうとう暑さで頭をやられたかと思いましたが、どうやらこれ巣鴨学園の夏の恒例行事の様です。一瞬、館山水産高校の生徒かとも思いましたが、皆色白でお腹の辺りがプヨプヨしているので・・・違うなと思いました。

館山のビーチは海の家も立ち並んで、すっかり夏真っ盛りですが・・・毎年気になるこちらのお店は今年も健在。しかし「くろんぼ」って名前はいろいろマズくないのかな・・・私は嬉しいですが・・・。



時間は午後3時。暑さのピークをようやく過ぎようとしていますが、空腹に耐えきれず船形漁港の定食屋にピットイン。「とまや定食」はアラ煮(カンパチ)、サザエのツボ焼き、刺身3品、つみれ汁が付いて1580円。アラ煮だけで十分定食になるボリュームです。これで元気が回復して浦安を目指します。



■ 「崖観音」は絶景かな ■

館山の隣、那古船形と言えば「崖観音」。大福時という真言宗那智派のお寺ですが、海と街を望む断崖絶壁に作られた観音堂は京都の清水寺や山形の立石寺同様の「懸崖造り」。実はこの観音堂、しばらく大改修をしていて足場に囲われていました。今年7月に1年ぶりに全貌が拝める様になりました。

717年に僧行基が山の岩肌の自然石に十一面観世音菩薩を彫んだのが始まりと伝わる大福時。断崖にはいくつかの四角い岩屋が穿たれていますが、修行僧が修行の為に籠ったのでしょう。

観音堂は平安時代に建てられた物は1653年に火災で焼失しており、その後債権された物は関東大震災で崩壊しました。現在の建物は大正14年に再建されたものです。




回廊からは館山湾と船形の街が一望できます。




驚くべきは海面から50m以上の標高があろうかと思われるこの断崖絶壁に「海蝕」の後が見られる事。房総半島は海底から隆起して出来たので当然と言えば当然ですが、草木に覆われている所が多いので、小山の頂き付近に海蝕の露頭が見られる場所は少ないかと・・。

岩場の上にも仏像が安置されています。



■ ヤバイ、暗くなってしまった・・・ ■

観音見物でまた時間を使ってしまいました。木更津から先の国道は道に陥没や隆起が多いので出来る事なら明るい内に通過したい。気温も下がって来たので30Km/hペースで一気に君津を目指します。(ここから先はスマホの電池が切れたので写真は有りません)

富津の上り坂をクリアーして君津手前のコンビニで大休止。頭から水を被ってリフレッシュします。ここからは日没との戦いです。木更津市内の高架は左からの合流も多いので全速力。35km/hオーバーで突っ走らないと合流車両と速度差が大きくて怖いです。シングルギアーなので小野田坂道ばりのハイケイデンス走行です。(傍から見ているとコマネズミの様ですが・・・)

袖ヶ浦手前で日は暮れ、だんだんと道が暗くなります。道路の切れ目毎に隆起や陥没が有る最悪の路面状況。大光量のLEDライトを点灯していますが、走行速度はガクンと落ち、さらに神経をすり減らします。交通量の少ない工業地帯なので脇をすり抜けて行く大型車両は結構なスピードです。歩道に退避してみますが、こちらも草が両側から迫り、予期せぬ凹凸が有るので車道よりも危険。あわてて車道に復帰し22Km/h程度で進みます。

五井の先で市街地に復帰してホット一息。ここからは車の流れに乗って速度が上がりますが、ちょっと頭が疲れて来ました。茂原街道との分岐の手前でコンビニ休憩。エナジージェルとおにぎり2個を腹に入れます。

胃袋が強いのか、固形物を食べ続けられるのでロングライドの後半の苦しみは少ない方かも知れません。固形物を受け付けなくなるとライフポイントが一気に減って行きますから。

■ 最後は余裕でゴール出来たが・・・ ■

エナジージェルが効いたのか元気がモリモリ回復しました。千葉からは時折35km/hオーバーの拘束巡航で一気に浦安も戻ります。10時ジャストに帰宅できました。

300Kmにちょっと及ばず 286km
朝3:30から夜22:00まで掛って、総合計時間は18.5時間
メーター読みのAVは 24.7km/h

まだ100Kmは走れそうです。

ところで今回は初めてのシングルギアーでの300km近いロングライドでしたが、途中ギアが欲しいと思った場所は一箇所も有りませんでした。むしろ不用意に大きなギアを踏まないので、脚と体力の温存になった様で、いつもは疲労困憊する距離も無理無く走れました。

硬いかなと思われた、クッションの無いタイオガのスケルトンのサドルは、むしろクッション入りよりも調子が良く、最後までオシリは痛くなりませんでした。


ただ、一つだけ問題が・・・

ハンドルが「シングルっぽく」ブルホーンなのですが、これ乗車姿勢が限定されるので結構辛いです。特に手の平がジンジンして来ます。やはりロングライドにドロップハンドルは必須かも知れません。

尤も、ブルホーンは下りのブレーキ操作が確実なので、下り坂で思いきりスピードが出せます。ギアー比2.87なので基本的には下りは自重落下で加速しますが、久々に70km/h弱の速度が出ていました。多分、清澄山の下りでしょう。


まあ、完璧では有りませんが、アルミのシングルギアーのロングライドは意外にも付かれる事も、脚が終る事も無く、楽しい一日が過ごせる事が証明されたと言えます。


50才のオレ、良く頑張った!!

ヘリコプターマネーの現実性・・・節度が大事

2016-07-22 05:04:00 | 時事/金融危機
 

■ 多くの経済学者が認め始めた「異次元緩和=財政ファイナンス」 ■

日銀の異次元緩和を私は「ステルス財政ファイナンス」と呼んでいましたが、2%のインフレ率達成が遠のく中で、多くの経済学者やアナリスト達も、「異次元緩和は事実上の財政ファイナンスである」と発言し始めています。

中央銀行制度におぴて最大のタブーとされている「中央銀行による財政ファンナンス」ですが、リーマンショック以降、アメリカはQEと称してFRBが直接米国債を引き受けていましたし、日本にしても金融機関は購入した国債を直ぐに日銀に売却しているので、直接引き受けとたいした違いはありません。タブーが堂々と破られていたのです。

■ 何故通貨の暴落が起きないのか? ■

「財政ファイナンスを行うと通貨の信用が失われ為替市場で通貨が暴落し、国債市場で国債が投げ売れて国債金利が暴騰する」という「伝説」を異次元緩和の前までは私も信じていました。第一次世界大戦後のドイツの様になると・・。

ところが異次元緩和やQEが明らかにしたのは、ドルや円やユーロと言った国際通貨(ハードカレンシー)においては容易に通貨の信用は失われないという事実でした。

ここら辺は「中央銀行と市場との対話」という「意味不明な呪文」が有効に働いている様で、用は「中央銀行と銀行が談合」していれば、国債市場の暴落も、為替市場の暴落も有る程度は防げる事が明らかになったとも言えます。

「これから国債をどんどん買うけど、国債売ったら承知しないよ。中央銀行の当座預金に入れておけば利子が付くからね。裏切った時はどうなるか知ってるよね・・・」端的に言ってしまえば、銀行の親分である中央銀行に金融機関は単独では逆らえないのです。

「対話と言う脅し」が有効な内は、ある程度の財政ファイナンスも「リフレ政策」として市場は許容します。むしろ国債を買って中央銀行に売却すればノーリスクで金利が得られるのですからこれ程オイシイ話は有りません。さらにブタ積でも金利が得られる。

この用に中央銀行と銀行の利害が一致する場合においては、多少のタブー破りは不問にされるのが世の現実の様です。尤も、これは通貨マフィア達が認めたケースに限られる様で、ハンガリーの様な弱小国が財政ファイナンスの様な事をすれば、その国の通貨は一気に売り込まれます。(尤も、これも通貨安政策としてハンガリーの景気回復に繋がった様ですが)

■ 低金利の継続でもバブルが起こらない訳 ■

量的緩和やQEと呼ばれる「ステルス財政ファイナンス」が必要になった理由は二つあります。

1) 先進国の成長力が低下して資金をジャブジャブ供給しなければ経済が縮小してしまう
2) リーマンショックの穴埋めで資金をジャブジャブ供給しなければ世界経済が崩壊する

実は1980年代以降、先進国、特にアメリカの成長力は定価しており、FRBは意図的に金利を低く誘導してバブルを誘発して来ました。その直近のバブル崩壊がリーマンショックです。サマーズやクルーグマンも指摘している様に先進国においては最早バブルでしか経済成長を達成出来ないのです。

1)先進国は新たなインフラ投資が経済成長に繋がらない
2)少子高齢化が進むので、経済自体の活性が失われる
3)新興国の金利に引かれて資金が国外で運用される

この様に低成長に陥った経済においては「バブル」以外に投資や消費を拡大する方法が無いのですが、一方でITバブルに代表される様に、バブルが新たなイノベーションを育てる事も事実です。

ところが、リーマンショック以降、先進各国ではバブルを生み出す活力すら失われつつあります。日本が良い例ですが、日銀が量的緩和に踏み切って以降、何回かのプチバブルは起こりましたが、かつての熱狂を取り戻す事は有りませんでした。

これは「バブルの崩壊」を経験した経済の心理的な要因も無視できません。右肩上がりの成長に疑念を抱いた経済においては容易に投資は拡大せず、結果として大きなバブルは起こり難くなります。

一方で発達したグローバル金融の元では、バブルは成長力の高い新興国で発生します。先進国で潤沢に供給された資金が金利を求めて新興国投資に流れ込むからです。

この事をして「先進国ではバブルは発生していない」と考えるのは大いなる誤解で、先進国の資金で新興国がバブルぶなっているおですから、中国などの新興国で巨大なバブル崩壊が発生すれば、新興国の投資資金も棄損します。要は、グローバル金融の元では、海の向こうのバブルも自国内のバブルも大差は無いのです。

■ 異次元緩和やマイナス金利は「国債の消化プログラム」 ■

量的緩和と言う「ステルス財政ファイナンス」のトップランナーは日本ですが、日銀が年間に80兆円ずつ国債などを買い入れてマネタリーベースを増やしています。金利もとうとう20年債までがマイナスにっています。

マイナス金利まで導入しても景気はあまり刺激された様に見えませんが、実はマイナス金利は日銀の当座預金の一部にしか課せられないので、実際にはブタ積は金利収益を銀行に与え続けています。

要は、日銀の異次元緩和もマイナス金利も実際の所は景気回復を目的とするのでは無く、既に税収では支えられなくなった日本の財政をファイナンスする為の「国債の消化プログラム」に過ぎないのです。

マイナス金利も国債は国債を発行して金利が得られるという異常な状況を生み出していますが、日銀の年間80兆円規模の国債買い入れは、既に今年の財政ファイナンスを終了して、来年以降の財政をもファイナンスする規模となっています。

「金利が上昇しない内に国債を大量に発行してしまおう」という意図が透けて見えます。表向きは「プライマリーバランスの健全化」などというポーズは取っていますが、財務省も景気回復局面(金利上昇局面)までは「消費税増税とう景気の冷却材」を温存しています。

■ ヘリコプターマネーと言う新たな実験 ■

ヘリコプター・ベンこと元FRB議長のバーナンキ氏の来日で、日本における「ヘリコプターマネー」の憶測が乱れ飛んでいます。

「永久国債を発行して日銀に買い取らせれば不可能では無い」と言ったとか言わないとか・・・。

尤も、日本国債の金利がこのまま低利で安定しており、日銀は保有国債の償還時にロールオーバーを繰り返せば「永久国債」と大差は無いので、実は日本は事実上のヘリコプターマネーを実施しているとも言えます。これはFRBも同様です。

ヘリコプターマネーの表向きの目的は異次元緩和と同様にデフレ脱却ですが、異次元緩和が供給サイドから資金需要を喚起しようとする政策なのに対して、ヘリコプターマネーは直接(或いは間接的)にお金を国民に配って需要を直接盛り上げる政策です。

ヘリコプターまねーは三橋貴明氏らの主張に極めて近く、彼らは意図的に財務省や日銀の露払いの役割を担っているのだと最近の私は妄想しています。

安倍政権は20兆円の補正予算を組むと噂されていますが、財源は先行して発行した国債で賄えるはずです。自民党の事ですがら20兆円は様々な「バラマキ」の元でとして政治可の利権となっているのでしょう。

20兆円と言う金額は国民の総人口で割ると一人当たり15万円以上の金額になります。4人世帯で60万を直接支給する事の出来る金額です。まさにプチベーシックインカム。

尤も、直接国民に支給した場合、資金は預金に回ります。仮に1年の期限付きのクーポンとして支給したとしても、余った現金が預金に変わるので同じ結果となります。ただ、お金が入れば人は気が大きくなるので、経済効果は多少は出るでしょう。

一方、公共事業や補助金としてバラマく場合は、1回は経済活動に寄与して新たな雇用を生み出します。しかし、昨今は建設現場のみならず多くの職場で人手不足が顕著ですがら、アベノミクス初期に起きた様に、公共事業による人件費の上昇が民間企業の業績を悪化させる「労働市場のクラウディグアウト」が発生する事は目に見えています。

20兆円の補正予算を組むならば保育園の増設とか、保母さんの給与アップに使うべきですが・・・継続性に疑問が有ります。どうも、安倍政権の大型補正予算は政権の人気取が目当てで、憲法改正のエサにしか思えません。


■ ヘリコプターマネーの真の目的 ■

まあ、お金が貰えるおんであれば庶民には嬉しい「ヘリコプターマネー」ですが、真の目的は市場への資金供給でしょう。実はリフレ政策の目的も実際にはデフレ脱却では無く、金融市場への資金供給にあるかと私は妄想しています。

リーマンショック以降のQEや異次元緩和などのクレージーな資金供給は崩壊しかけた金融システムを支えるのみならず、新興国に大量の資金を提供することでこれらの国のインフラや経済基盤を整備する事を達成しています。

これによって世界は新たな安価な製造力と、新たな市場を手に入れています。所謂「新興国バブル」ですが、バブルが崩壊してもインフラや経済成長の成果は残り、新たな世界の成長の源になります。

この様に考えると、俄かに浮上して来た日本の「ヘリコプターマネー」ですが、その資金の少なからぬ量が金融市場に流れるとするならば・・・・世界はタブーに目をつぶるでしょう。

■ 財務省の思惑 ■

実はヘリコプターマネーに関しては金融マフィア達と財務省は「同床異夢」でしょう。

既に日銀は日本国債の1/3近くを保有しており、今後、この比率が高まるにつれて市場の需給関係がタイトになって来ます。本来ならばテーパリングを開始すべきですが、既に日本の財政は税収でどうこう出来るレベルでは有りません。

現実的には日銀がテーパリングをチラつかせるだけで日本国債市場は暴落してしまうので、事実業日銀は異次元緩和を止める事はありません。

こうなると、少なくとも2年以内に日銀が買い取る国債が市場から枯渇する訳ですが、そうなる前に日銀法を改正して、日本国債の日銀による直接買い取りに道を開くしかありません。その為の地均しが、俄かに台頭した「ヘリコプターマネー」論争なのでしょう。

これは日本に限らず、アメリカなどの先進国もいずれは同様の状況に陥るはずで、日本で実験して「ヘリコプターマネーは有効だ」と言う実績を作っておきたいのかも知れません。

■ 皆がハッピー=皆がアンハッピー ■

ヘリコプターマネーや財政ファイナンスが成功するかどうかは「政府の自制」次第でしょう。

日銀が国債を直接引き受けた場合、「円=政府通貨」となる訳ですが、手元にある1万円の印刷が変わる訳では有りません。多くの人々にとっては何ら変わらない1万円です。

政府が十分に自制的であるならば、財政と経済を支える最低限の通貨発行量を守れば「政府通貨」は財政に負担を掛けない魅力的なシステムです。今後増大する「無年金世代(現在のフリーター達)を支える為にもベーシックインカムの原資が必要ですが、最早税収でどうにかなるレベルでは合いませんから、「政府通貨化」は避けては通れない道です。

但し、安倍政権の補正予算を例に取るまでも無く、政府が打ち出の小槌を手に入れた場合、人気取の為にそれを振り回す欲求に抵抗出来なくなる事は、過去の歴史が証明しています。

財政ファイナンスやヘリコプターマネーは正しく管理されれば「皆なハッピー」な政策ですが、世の中往々にして「皆がハッピー=皆がアンハッピー」というオチになるものです。



本日は財政ファイナンスとヘリコプターマネーについて妄想してみました。

これぞアニメ・・・『瀬戸の花嫁』

2016-07-19 03:09:00 | アニメ
 



■ 媚びた笑いと、媚びない笑い ■

私はギャグ漫画やギャグアニメが苦手です。それのみならず「漫才」なども苦手です。理由は真剣に考えた事が無かったのですが、アニメ『瀬戸の花嫁』を見て、「ああ、笑いには二通りの笑があるんだ」と気付きました。

吉本の芸人さん達はお客さんを如何に笑わせるかを日夜真剣に考えています。しかし、結果ととしてお客さんに「媚びる」事で笑いを生み出す傾向に陥りがちです。道化やピエロを例に取るまでも無く、人が無防備に笑う時、笑いの対象よりも自分が高い位置にある必要があり、自然と笑わせ側は低い位置に自分を置く事になります。この関係性が端的に表れているのが漫才だと言えます。「媚びた笑い」は「条件反射の笑い」と言い換える事が出来ます。無防備にガードを外された状態で何か予想外の珍事が発生すると反射的に人は笑ってしまいます。

一方、落語の笑いは「媚びない笑い」の部類に入るでしょう。噺家は「高座」に座り客を見下ろしています。客は笑いに来ていると言うよりも「噺家の芸」を鑑賞しています。確かに落語は人を笑わせる芸ですが、客の笑いは「拍手」の代替えであり、賞賛の現れとも言えます。落語における笑いは「条件反射の笑い」では無く、客と芸人の掛け合いであり、ある種の「ルールが存在する笑い」とも言えます。

この「媚びる笑い」と「媚びない笑い」というのは、マンガやアニメ、小説の中にも存在している様に感じます。ギャグ漫画と言えば赤塚不二夫の名前が挙がると思いますが、「不条理ギャグ」などと賞賛されがちな赤塚不二夫の笑は私には「媚びた笑い」のバリエーションの様に思えます。少年誌のギャグ漫画の多くはこちらの系譜に連なります。


対局にあるのは高橋留美子かなと・・・『うる星やつら』や『めぞん一刻』などの笑いは、ストーリーと不可分です。主人公が一生懸命になにかを達成しようとした結果が予想外であったりするのですが、そこに笑いが生まれる。それぞれのキャラクターがお決まりのパターンの反応や行動をするのですが、そのタイミングや効果が微妙にずらされたりする事でそこに笑いが生まれます。


「どちらの笑が優れているか?」という問題では無く、何となく笑いには2種類あるという程度の話ですが・・・。そして私がギャグ漫画や漫才にあまり興味を持てない理由は、「無防備」に笑えないから・・・かと。どうしうても作り手側の思考を探ってしまうクセがあるのです。だから条件反射で笑えずに、笑うタイミングを逃してしまうのでしょう。

■ 日本版の人魚姫、『瀬戸の花嫁』 ■

なぜギャグや笑の話をしたかと言えば、先日終了したアニメ『暗殺教室』の最終2話が素晴らしいという記事を書いたら、よたろうさんから岸誠二監督の旧作の『瀬戸の花嫁』を紹介されたから。

以前にも紹介されていたと思うのでうすが、その時は最初の3分位で視聴を辞めてしまいました。なんか古臭いアニメだな・・・と思って。(今回調べてみたら2007年の作品なので、古臭いのでは無く、実際に古いアニメだったのですね。)

今回は『暗殺教室』の監督という意識もあって1話をじっくりと観る事に。・・・なんとこの作品、傑作中の傑作でした。AAAをあげたい。

ここからネタバレ全開

夏休み、父と母と瀬戸内の島に遊びに来た中学生の満潮永澄(みちしお ながすみ)は、海で溺れた所を人魚に救われます。その夜、永澄の元を瀬戸燦(セト サン)と名乗る少女と、3人のヤクザが訪れ、父母共々半ば拉致されて連れて来られたのは、海の底にある「瀬戸内組」。

人魚の世界では人に正体を見られた人魚ら死ななくてはなりません。しかし、その掟を逃げる方法として瀬戸内組の面々が考えたのが「身内ならえぇー」という強引な結論。そこで燦と永澄を結婚させてしまえ!!となった訳です。

尤も燦を溺愛するオヤジは娘を嫁にやる気など毛頭有りません。機会を見ては永澄を亡きものにしようと企てますが・・・燦の決意の前に涙を呑んで娘の婚約を認めます。

婚約したとはいえ、未だ中学生の二人。埼玉の永澄の家に燦が一緒に暮らし始め、中学にも一緒に通う事に。(部屋は別、親と同居ですから健全そのもの)

ところが、クラスの担任は燦の父親、保健室の先生は母親、数学の教師は若頭、体育の教師も凶暴なサメといった具合に瀬戸内組の面々が燦を心配して学校に潜り込んでいます。(教育委員会に手を回して)

こんな具合で、永澄と燦の新生活が始まります。

■ 赤塚不二夫と高橋留美子を繋ぐ『瀬戸の花嫁』 ■

同名のマンガを原作とする『瀬戸の花嫁』ですが、物語の構造は『うる星やつら』に良く似ています。登場人物の設定もほぼ重なります。ドタバタした展開も似ている・・・。

ただ、アニメ版は「笑の瞬発力」はハンパありません。2秒毎に笑いのネタが連射される。この強引な笑わせ方は赤塚不二夫的ですが、話の基本構造やストーリーが重視される点は高橋留美子的。この異なる笑の要素を違和感無く繋げているのが岸監督の手腕かと。

■ アニメでしか出来ない「圧縮表現」 ■

特筆すべきは展開の速さと密度の濃さ。様々なアニメの表現がどんどん現れては消えて行くのですが、さながらジョン・ゾーンの「圧縮音楽」のアニメ版と言った所か。再構築という現代的表現様式に無自覚で到達した様な作品ですが、アニメだからこそ可能となった表現とも言えます。


■ 映画を意識した演出 ■

一見、子供向けのギャグアニメの『瀬戸の花嫁』ですが、各話のタイトルは、「極道の妻」、「指輪物語」、「天国に一番近い島」、「男はつらいよ」、「男はつらいよ」といった様に実写映画のタイトルが並びます。序盤は邦画のタイトルが多いのですが、中盤からは「来訪者(ビジター)」、「激突」、「鋼鉄の男」といったクセの有る洋画のタイトルが並びます。それぞれ各話の内容を良く表していてニクイのセンスです。

映画の影響はタイトルだけではありません。13話の「ある愛の詩」は、極道映画のオマージュですが、明らかに園子温を意識しています。いえいえ意識どころか、燦ちゃんの声優の桃井はるこの1999年の『Mail Me』のPVは園子温が監督していますし、園監督の『自殺サークル』内でこの曲が使われています。



OPなんて完全に園子温のノリですね。これ桃井はるこが作詞・作曲・編曲ですね。

こちらは園監督の『地獄でなぜ悪い』の挿入歌「全力歯磨き」


ところで2013年に公開された『地獄でなぜ悪い』はヤクザ映画ですが、私の頭の中では『瀬戸の花嫁』とモロ被りな感じがします。(ストーリーは全く違いますが、表現の仕方が似ているというか・・・)

■ 各キャラクターの魅力が、このハチャメチャなアニメを支える ■

本作を見なければそのハチャメチャさの程は分かりませんが、ともすると「勢いだけの雑な作品」に成りがちな要素を上手く支えてうるのが各キャラクターの魅力。特に主人公の燦ちゃんの可愛くも芯の通ったキャラは嫌いな人は居ないのでは。

瀬戸内組の面々も、クラスの友達も、恋のライバル達も、皆個性的な魅力に溢れています。

■ これは一種の「奇跡」なのだろう ■

『キルラキル』や『健全ロボダイミダラー』など、昭和40年代のテーストのギャグアニメが最近出始めましたが、妙にスタイリッシュです・・・。それに比べて『瀬戸の花嫁』は「どストレート」な表現ですが、その潔さがこの作品の魅力でもあります。

ただ、「歌対決」のシーンで変身バンクがあったりと、現代アニメのツボはしっかりと押さえています。とにかく、現代のアニメの表現様式を全部強引に突っ込んで闇鍋状態になっています。

そんな力技の作品ではありますが、何故か「奇跡的に面白い」。そして最後は感動の嵐。


製作は GONZOですが、意欲が空回りして駄作が多い GONZO作品の中ではダントツの出来栄えです。「 GONZOの軌跡」と呼ぶ人も居るとか・・・。


ちなみに岸誠二監督は

天体戦士サンレッド
神様ドォルズ
人類は衰退しました
ダンガンロンパ
暗殺教室
乱歩奇譚

などが有ります。幅広い表現をそつ無くこなす職人的な監督の様ですが、『天体戦士サンレッド』は笑えます!!

恐らく2年以内に崩壊する世界経済・・・その後を妄想する

2016-07-18 04:02:00 | 時事/金融危機
 

■ 既に確定的となった「金融緩和バブルの崩壊」 ■

「現在の世界経済が金融緩和バブルである」とずっと私は指摘してきましたが、多くのアナリスト達は「バブルの兆候は見られない」とか「まだバブルとは言えない」と発言してきました。

しかし、先のイギリスのEU離脱問題から世界経済の破綻の兆候が鮮明になり始めています。最早、市場関係者で「金融緩和バブルの崩壊」を意識していない人は居ないのではないでしょうか。

1) リーマンショック後の各国の金融緩和で、不動産市場、新興国市場、原油を始めとする現物市場の価格が上昇(バブル化)
2) 2015年12月の米利上げを前に、新興国市場、原油、現物市場から資金が逃げる

3) 原油価格の下落でシェール関連企業のジャンク債のデフォルト率が15%を超える

4) 加熱した新興国投資と不動産投資でイタリアやスペインの銀行が不良債権が増大
5) イギリスのブレイクジットによってイギリスの不動産ファンドが事実上破たんする

↑現在はココ

6) ジャンク債のデフォルト率が徐々に高まる
7) 不動産市場の価格下落がヨーロッパ、日本、アジアに波及する(資金流入の減少)
8) イタリアやスペインの銀行で取付け騒ぎが起こり、銀行の健全性に対する疑念が拡大

↑多分、秋頃にはここまで進む

9) 不動産の下落傾向が世界的に顕著になり不動産投資信託(REIT)から資金逃避が加速
10) EU圏内の銀行救済に各国政府が乗り出すが、COCO債などが破綻する
11) 金融株が危機的な株価になり、金融危機の兆候が世界的に顕在化する

12) アメリカは大統領選に目が向き、金融危機に対する適切な対応が遅れる
13) FRBが12月の利上げを見送り、QEの再開を示唆する

↑多分、今年末にはここまで進む

14) FRBのQE再開示唆によってリーマンショック以降の緩和的金融政策の限界が意識される
15) FRB、ECB,日銀の緩和発表に市場はネガティブに反応し始める
16) 社債市場で金利上昇が顕著となり、株式市場は売り一色となる
17) ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリア、フランスの国債金利が急騰する

↑多分、来年3月はこんな感じ

18) 日本国債の金利が僅かに上昇に転じる
19) 国債金利上昇に日本株市場が敏感に反応して、日本株が大きく売り込まれる
20) 世界的に債権金利が上昇して株価が暴落し、「金融危機」が本格化する

↑多分4月頃にはこんな感じに

21) 金融危機対応に際し、EUと米英日本の足並みが乱れる
22) ユーロ危機が再発するが、円も同時に下落する
23) ドルとポンド、スイスフランが買われる

・・・まあ、こうなると新興国バブルも完全に崩壊で中国も含めてボロボロになっている事でしょう。後は米英の資本家達が暴落した市場で「収穫」を初めるかと・・・。


「来年の事を言うと鬼が笑う」と言いますので、大いに笑っていただきた所ですが・・・。

■ 「金融崩壊後の世界」の妄想の方が楽しい ■

私はリーマンショック後ずっと「第二のリーマンショック」を妄想して来ましたが、それが現実的になった今は、「金融崩壊後の世界」を妄想する事に新たな楽しみを見つけています。(自虐的ですが)

多分、金融危機と並行してアジアと中東で安全保障上の危機が高まるでしょう。

1) 中国国内の経済崩壊で中国国内で暴動が頻発
2)国内の不満から目を逸らす為に、尖閣諸島周辺や南沙諸島周辺で中国軍が挑発的な行動を取る
3)自衛隊や東南アジア諸国の軍隊が中国軍と対峙して緊張が高まる

4)ISISのテロがシリア意外で過激化し、シーア派とスンニ派の対立が各国で高まる
5)サウジアラビアのシーア派問題でサウジとイランの間で緊張が高まる
6)イランがホルムズ海峡の封鎖を示唆する
7)NATO軍が中東有事の準備に入る

パターンA

有事のドル買い、米国債買いが発生してアメリカの独り勝ち

パターンB
ドルを含めた通貨全体の信用問題が発生し、世界は新たな通貨システムの構築に入る


まあ、東京オリンピックどころでは無くなっていそうな予感が・・・・・。


何れにしても「資産家」と呼ばれている方々はリスク資産を処分されている事でしょう。これから相場は荒い値動きを繰り返しながら崩壊に進みますが、損をした個人はむしろ逆転を狙ってスッカラカンになるのはギャンブルと同じ。プロの方も含めて勝者は居ませんが、既に勝ち組は逃げた後というのが現在の状況では?


本日は思いきりネガティブな妄想に耽ってしまいました。



映画 『夏美のホタル』 聖地巡礼

2016-07-12 04:13:00 | 映画
 






■ 養老渓谷周辺で撮影された『夏美のホタル』 ■


7月2日の土曜日、いつものごとく自転車で鴨川へ向かう途中、養老渓谷の駅舎に『夏美のホタル』という映画のポスターが貼られいました。養老渓谷周辺で撮影が行われたと書かれています。撮影場所は「筒森」と「月崎」。

筒森は養老清澄ラインを養老渓谷より先に進んだ峠の上に在る小さな集落ですが、私のお気に入りの場所です。こじんまりとした山間の集落ですが、何とも言えない趣があって私の心の中の「理想の田舎の風景」を具現化した様な場所です。

この地に惹かれるには私だけでは無いようで、かつて横浜の時雨谷で伝説のバイクショップを経営されていたケンタウロスのオーナーも現在はこちらの古民家に移り住んでいらっしゃいます。

「筒森」をロケ地に選んだのであれば良い映画に違いない・・・そう思い、先週の土曜日に劇場へ足を運びました。

主演が『あまちゃん』で小泉今日子の若い頃を演じた有村架純、監督が廣木隆一。この二人のコンビは『ストロボ・エッジ』が有りますが、ちょっとチャラい映画なので不安・・・。ただ西 炯子原作の『娚の一生』の予告は悪くなかったので期待と不安が入り混じる気持ちで映画の始まりを待ちました。

ここからネタバレ注意報

実は「筒森」がロケ地に選ばれたのには訳が有りました。森明夫(原作者)が実際に筒森に在る雑貨屋「角谷(作中はたけ屋)」で体験した事を元に書かれた小説なのだとか。そう、この映画のロケ地は「筒森にある角屋(たけ屋)」でなければダメなのです!!





上の写真が映画の中の「たけ屋」。下が実際の「角屋」です。「角屋」は閉店して久しいのですが、7月2日に店の前を通った時は、開店していてアレ?!って思ったんですよね。バイクに乗った若い男女が店の中に入って行ったので店を再開したのかなと・・・。これ、実は映画上映記念で店の中を公開していたと後から知ってマジ歯ぎしり!!


映画のあらすじと予告映像はこちらから。

http://natsumi-hotaru.com/

はてさて、映画の出来は如何かと言うと・・・90点です。(私、映画にはアニメより数十倍キビシイ採点なので、これはスタンディングで拍手レベルの評価です!!)

私が実写映画に求めるのは、俳優が演技をしていない事。カメラが回って俳優が演技をしていると意識されると興ざめしてしまいます。リアリズムが好きという訳では無く、映画と俳優が一体化して不可分の状態になった作品が好きです。

日本映画で言えば西島秀俊が主演した2004年の『帰郷』なんて理想的です。もう普通の誰かの日常を覗いている様な感じしかしないのに、しっかりと気持ちが伝わって来てしっかりと感動してしまう。古い映画になりますが、インドの巨匠のサタジット・レイの『大地の歌』3部作も同様な作品。

一方で園子温監督の『愛のむきだし』も大好物です。主演の西島隆弘と満島ひかりとが作品に取り込まれて行く感じがもう最高。演じているのでは無く役に取り憑れた感じにゾクゾクします。この感じは、はタルコフスキー映画を見て背筋が寒くなるのに似ています。『ノスタルジア』のオレーグ・ヤンコフスキー演じる小説家が蝋燭を消さない様にして温泉を渡るシーンなんて狂気を覚えます。

これらの作品を100点とする中での90点ですから、「筒森」アドバンテージは否定しませんが、観て損の無い映画と断言します。(公開は7/14日までですが)

肌合いとしては前出の『帰郷』に近いのですが、主演の有村架純と恋人役の工藤阿須加(元西武の工藤投手の息子)の演技が光ります。特に演技に躊躇が有る工藤が素人っぽくて実は魅力的。それに比べるとベテランの小林薫、光石研、吉行和子は「役を演じている感じ」がしてしまって・・・。吉行和子は『帰郷』の再婚する母ちゃん役の時の方が上手かった。

ただ、観終わった後に、スクリーンの中の人達が、実際に存在しているかの様な錯覚というか残像の様なものが心に残っているので、素晴らしい映画だと思います。(ちょっと作品のテーマがチープではあるのですが、これは原作の問題)


■ 聖地巡礼にGO ■

7月10日の日曜日、暑くなりそうなので朝4時に「聖地巡礼」の旅に出発です。相棒は魔改造クロモリ・フルリジットMTBのラレー君。ロケ地が河原だったりするのでダート走行も覚悟してのチョイスです。



ロケ地は上の地図の範囲。冒頭の大山千枚田と、途中一瞬、久留里が映りますが、後はだいたい大多喜町での撮影の様でした。撮影のシーン順に周るのは不可能なので、浦安からのルート順に紹介します。



先ずは夏美が恋人の慎吾に別れを告げられて、彼の乗った小湊鉄道の列車をバイクで追うシーン。小湊鉄道と大多喜街道が並走するのは「鶴舞駅」周辺。(地図A地点)





道路から離れてゆく列車を見送って夏美がバイクを止めて涙を流すシーンの交差点は多分ここ(地図B地点)




■ 月崎駅 ■



場所を月崎駅に移します。
夏美の元を訪ねて来た慎吾が到着したのは小湊鉄道「月崎駅」(地図C地点)

いかにもローカル駅といった佇まいを残す月崎駅は何度か映画やドラマのロケに使われておる様です。



待合室には映画のポスターがずらりと貼られています。



このベンチで信吾と最後の別れをします。



小林薫演じる仏像彫刻家の運月の工房は駅舎の傍らにある「もりらじお」





「これはトトロの小屋ですか」と思わず聞きたくなる野草に覆われたこの小屋、実は「いちはらアートxミックス」というイベントの作品の一つでした。木村崇人さんという方が製作され、森の音をライブでオンエアするラジオ局というコンセプト作品です。2014年の作品ですが、それ以降は地元のボランティアの方が手入れをされていて、現在では野草もしっかり根付いてファンタジー溢れる空間を作り出しています。四季折々の野草が咲くので、何度来ても違う表情で迎えてくれます。

地図D地点は現在日本で一番注目されているスポットです。養老川沿いの崖に77万年前の地層が露頭していますが、実はこの地層、最後に地磁気が反転した痕跡を残しており、イタリア南部の街2つと「模式地」の選定を争っています。万国地質学協会がこの場所を「模式地」と認定すると、「ジュラ紀」や「白亜紀」の様に地質学の教科書に「千葉紀(チバニアン)」という表記がされるかも知れません。「模式地」には金メッキのスパイク(ゴールデンスパイク)が打ち込まれますが、現在ゴールデンスパイクは世界全体で65か所しか無く、月崎のこの場所が選ばれば、日本の地質学的快挙となるでしょう。(チバニアンの紹介はまた後日)


■ 養老渓谷 ~ 筒森 ■

舞台を養老渓谷周辺に移します。



養老渓谷駅は映画には出てきませんが、丁度トロッコ列車が到着したのでパチリ。(地図E地点)このトロッコ列車、実はハリボテで・・・・鉄道マニアの興味は引かないかな・・。



養老渓谷温泉郷を抜け老川十字路の先、養老清澄ラインが養老川を超える橋は、信吾と別た夏美がバイクを押してトボトボ歩いた所。(ガス欠か?!)(地図F地点)



養老清澄ラインを鴨川方面に進み、長い上り坂のトンネルの手前を右折して旧道に入ります



旧道のトンネルを抜けて、しばらく上り坂を走ると、峠の頂きに有るのが「角屋(映画ではたけ屋)」。映画そのままの姿です。(地図G地点)



地蔵さんが大切にしていたタンポポの咲いていた場所には、黄色い花が植えられていまいた。



角屋の向かい側には貯水槽と小湊バスの停留所が有ります。バスは1日3便だけ、ここが終点です。貯水槽の横に残念ながら祠は有りませんでした。



角屋の脇の小道は子供達が花火をしていた場所。



その先の集会所の広場のブランコは慎吾が夏美を「オレと一緒に新潟に来ないか」と誘った場所。



映画冒頭で空撮された棚田は鴨川に在る「大山千枚田」ですが、筒森周辺も平地が少ないので棚田が残っています。



坂を下ると筒森の集落の下を貫通する新しいトンネルに出ます。このトンネルを映画冒頭で夏美がバイクで走りぬけます。(地図H地点)





筒森トンネルに養老渓谷側から登る長い坂は、少女時代の夏美を後ろに乗せて夏美の父親が走った場所(地図I地点)




■ 会所親水公園 ■






場所を夏美がホタルに再開した「会所」近辺に移しましょう。
養老清澄ラインを老川十字路に下ったら右折して、養老渓谷の名所「粟又の滝」を通過します。(ここも映画の撮影スポット)。道なりに直進すると「会所トンネル」が現れます。その先を「麻綿原高原」方面に右折します。(地図J地点)



この一帯はかつて日本中の樹木を植林した「見本林」。現在では木々も成長し、とても千葉県とは思えない美林が出来上がっています。





見本林の先に「もみのき庵」という看板が出ています。廃分校を改造した蕎麦屋で、地元で採れたそば粉を手打蕎麦にしています。(地図K地点)



教室はむかしのまま。そこにイスとテーブルが並んでいます。



田舎蕎麦750円。腰が強くて美味しい蕎麦でした。




もみのき庵で道を聞いて、夏美がホタルと再会した会所の親水公園をめざします。駐車場が有るので場所は直ぐに分かります(地図L地点)



駐車場脇の急な階段を、せせらぎのする方へ下って行きます。すると、そこには別世界が広がっています。

これは房総特有の「川回し」のトンネルの出口が滝になっています。



川沿いの遊歩道はコンクリートで整備されていて歩き易い。(ちょっと整備し過ぎかな)



ホタルのエサになる「カワニナ」が沢山いたので、ホタルもきっち居るに違いない。



川回しのトンネルを潜ります。(禁止と書いてありますが)この上は道が通っています。遊歩道はこの先の砂防ダムで行き止まりです。



崖にイワタバコが自生しています。



このシーズン、ヒメハルゼミの大合唱が聴けます。一斉に鳴き始めて一斉に鳴き終わるという珍しい習性の蝉ですが、常緑照葉樹の原生林にのみ生息し、千葉県南部と西日本に生息します。




■ 山一面のアジサイが見頃の麻綿原高原 ■

親水公園の先からは上り坂になり、一路麻綿原高原に登ってゆきます。麻綿原高原はアジサイの名所です。(地図M地点) 観音堂からは外房の海が見えます。



この時期、山一面おアジサイに訪れた観光客は最初は声を失います。そして「スゴー、綺麗」の連発。しばし、アジサイをご堪能あれ。













アジサイを堪能した後には、ダート林道を清澄山まで堪能しました。充実した一日でした。


ちなみに『夏美のホタル』のロケ地は下のサイトに詳しく出ています。

http://maruchiba.jp/miryoku/marugoto/roke_hotaru.html