■ インターロイキン6の暴走・・・なぜ肥満や基礎疾患がある人が重症化し易いのか ■
日本医師会の新型コロナウイルスのページが秀逸なので、紹介します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はサイトカインストーム症候群である 日本医師会
1) 感染初期にT細胞が減少する
2) サイトカインの一種であるインターロイキン6(IL-6)が上昇
3) IL-6は炎症を起こさせるサイトカイン
4) 健康な人ではT細胞が増加に転じてウイルスが減少する
5) T細胞の減少が止まらない人はIL-6が増え続ける
6) IL-6の増幅が止まらなくなり、自分の細胞が破壊される
7) サイトカイン・ストームによって劇症化する
8) IL-6は脂肪細胞で作られる
9) 基礎疾患など、慢性的な炎症を持つ人はIL-6が恒常的に高く重篤化し易い可能性が有る
ざっとこんな内容です。
■ 液性免疫の抗体では無く、細胞免疫のメモリーT細胞に駆逐されていた新型コロナウイルス ■
最近の研究では、新型コロナウイルスが流行する前に採取された血液に新型コロナウイルスを入れると、ウイルスが免疫反応によって駆逐される事が分かってきました。
これは、新型コロナウイルスに感染した事の無い人も、ある程度の免疫を予め持っている事を示しており、過去に感染した風邪などによって得られた免疫が、新型コロナウイルスにも有効に働いている事を示唆しています。これを「交差免疫反応」と呼びます。
新型コロナウイスに感染しても症状の出ない人では、抗体値が上昇しない事から、免疫の主役は細胞性免疫、要は白血球と総称されるリンパ球が新型コロナウイルスを駆逐している。
リンパ球には色々な種類が有り、好中球や好酸球などの顆粒球、単球、T細胞、B細胞、NK細胞んどに分類されます。
新型コロナウイルスはT細胞に感染する能力が有り、感染初期にT細胞が減少します。しかし、過去の風邪に感染の記憶を持つメモリーT細胞が、選択的に新型コロナウイルスを攻撃する事で、ウイルスが減少し始めると見られています。
糖尿病などではT細胞の働きが低下する事が知られている様に、基礎疾患の有る患者は細胞免疫のの働きが低下する傾向に有ります。又、T細胞が作られる胸腺は、最も早く老化する組織と言われており、高齢者はT細胞の働きが低下します。
糖尿病などに基礎疾患や、高齢者はT細胞の働きが鈍く、新型コロナウイルスの感染によってT細胞がさらに減少するので、体はサイトカイン分泌による炎症反応でウイルスに対抗しようとする様です。ところが、サイトカインの分泌が一定以上を越えると、サイトカインの分泌が加速度的
に増え、自分の細胞まで破壊する様になります。これが「サイトカインストーム」で、新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザなどの感染でも発生します。又、蜂に刺されて発生する事も珍しくありません。
サイトカイン・ストームは、免疫に調整が効かなくなる状態で、強いアレルギー反応と考えれば分かり易い。
■ スペイン風邪もサイトカインストームだった ■
ウイルスの恐ろしさを「宣伝」する際に登場する「スペイン風邪」はインフルエンザの一種で、「H1N1型」の一種です。
H1N1型のインフルエンザはスペイン風邪の流行以前から存在しましたが、スペイン風邪の流行まで、しばらくの間、流行していませんでした。結果的に若い世代を中心のH1N1型への免疫を持っていなかった。
サルを使ったスペイン風邪の感染実験では、サイトカインストームによる重症化が確認されており、スペイン風邪の重症化の要因は免疫異常を引き起こす事と分かって来ましたが、過去に感染した事のある高齢者はスペイン風邪で重症化し難かった様です。
これは先般の新型インフルエンザA(H1N1)型で、若者が感染し易く、高齢者に感染者が少なかった原因と同じです。A(H1N1)方に高齢者は過去に感染して免疫を持っていた。
スペイン風邪の被害を増大さた要因は、サイトカインストーム以外にもいくつか指摘されています。第一次世界大戦の後で、各国の国民の栄養状態が悪かった事。当時、実用化された解熱剤のアスピリンの投与によってインフルエンザ脳症などになった事。さらには、1日30gと致死量超えるアスピリンの投与によって「アスピリン中毒」によって死ぬ人も多かった事などが指摘されています。
■ 細胞性免疫は過去の感染の記憶を持っている ■
抗体と呼ばれる「液性免疫」は、感染の初期に免疫グロブリンの一種のIgmが最初に上昇し、その後IgGが作られ、感染は収束に向かいます。Igm、IgGともに抗体検査で検出し易いので、免疫獲得の目安とされてきました。
IgmはIgGが生産され始めると低下して行きます。IgGも数か月から数年で低下するので、同型のウイルスに再び感染すると考えられています。
しかし、スペイン風邪や新型インフルエンザでは、相当に昔の感染によって得られた免疫が有効働く事が証明されています。これにはメモリーT細胞などの細胞免疫が関与している可能性が高い。
今回の新型コロナウイルスでも、過去に感染した別のコロナウイルスの感染によって得られた細胞免疫が有効に働き、殆どの人が感染しても無症状で終わっています。
■ 被害が大きな国は肥満が多い? ■
先に新型コロナウイルスで重症化を引き起こすサイトカインの一種のIL-6は脂肪細胞で作られると書きましたが、「肥満」の人が重症化し易いとの研究結果も多く発表されています。
そこで、WHOが発表している各国の「肥満度」と新型コロナウイスるの「死亡率」を比較してみました。肥満度はBMI30以上の人の割合。死亡率は人口100万人当たりです。グラフ化するに当たり、肥満度は10倍にしています。青線が肥満度、オレンジが死亡率です。
上のグラフで肥満度と死亡率には相関が有る様にも見えますが、実はそれよりも地域差の方が有意に大きい。東アジアやオセアニアの死亡率が欧米に比べてケタ違いに低い。
各国、医療体制も違うので単純に死亡率は比較出来ませんが、肥満の方が重症化し易い事は、同じ国民同士では有意に認められとしても、国家間では地域差の方が圧倒的に影響を与えています。
東アジアはコロナウイスの発生地に近いので、過去に様々なコロナウイルスに感染する機会が多く、その結果、新型コロナウイルスに対抗する、何らなの免疫を持っている可能性が高い。
さらに、ヨーロッパの国でも人工の密集度の高い国で死亡率が高い傾向が有る様です。又、アメリカなどは、明らかに医療体制や貧富の差が被害を拡大している。
この様に、様々な要因によって各国の死亡率には差が出ていますが、東アジアに関しては、医療体制の脆弱な国でも死亡率は顕著に低いので、これは何等かの免疫の存在無くしては説明出来ません。
■ 結局、同じ環境ならば高齢者と肥満、基礎疾患はハイリスクとなる ■
感染初期から言われていた事ですが、同じ環境ならば高齢者と肥満、そして基礎疾患の有る事は「ハイリスク」となりますが、東アジアは欧米に1/100程度の死者数なので、インフルエンザに比べても新型コロナウイルスの危険性は低い事は確実です。
要は、一部の人以外には「単なる風邪」にも満たない・・・そもそも感染しないか、感染しても症状すら出ないのですから。
■ 国の分科会は、一般人にPCR検査を増やす事はしない ■
政府の新型コロナ対策会議(解散しました)も、新たに組織された分科会も、一貫してリスクの少ない人へのPCR検査の拡大を否定しています。
これは、このウイルスが一般の人にとって「全く脅威とはならない」と最初から確信しているから出来る対策です。
「夜の街」で集中的にPCR検査を行っている東京都えは、感染者が連日大量に見つかっていますが、これは従来はPCR検査をしなかった人達にPCR検査をして、いたずらに「無症状の感染者」を掘り起こしているに過ぎません。
多分、オフィスで働いている方に同様にPCR検査を行えば、あなたのオフィスも「クラスター認定」されてしまうでしょう。当然、職場は閉鎖して消毒、社員は2週間の自宅待機です。こんな事をしていたら、日本の経済はクラッシュします。「ただの風邪」で国家が滅亡なんてシャレにもなりません。
だから、新しく出来た分科会も、PCR検査の対象を限定したい。
PCR検査を増やす事は、企業や国家に対するテロ行為に等しいのですが、再選した小池都知事はPCR検査を1日1万件まで増やせるようにすると発表しています。‥…テロリスト認定して良いでしょう。