なんて優しい芝居なのだろう。多重人格の女性の心の痛みを、丁寧に描きながら、少しずつ彼女の痛みを和らげようとする医師たちの姿を同時に描く。作、演出のはせさんは最大限の優しさで彼女を包み込むように描いてみせる。
いつものはせさんの芝居とは距離の取り方が違う。バランスを明らかに崩している。はせさんは動揺している。彼女の痛みに心が揺れている。いつもなら素材に対して第三者の視点をしっかり取ることを前提 . . . 本文を読む
言葉が足りないから、少し追加する。
この製薬工場で事故に遭い、左手と左足が焼けてしまった女がやって来る。その前には、新しく派遣でやって来た女のエピソードも入る。このふたつの話が本編の入り口に設定されている。蕗子のドラマとしてこの芝居を読むのは当然のことだが、最初に提示したこの2人の話はかなり大事だ。ほんとはこのエピソードがいかに物語と連動するかが、芝居自体を左右する。しかし、それが本題とうま . . . 本文を読む