かなり楽しみにしていた。漱石の『夢十夜』をベテランから若手まで11人の監督の手でどんなふうに料理されているのだろうかと、出来上がりをずっと待っていた。なのに、あまりと言えばあまりのくだらなさ。情けない。こんな映画をどうして作ったのか。けっこうお金もかかっているのだが。
自由きままにするってこんなにも愚かなものを作ることになるのか、と思うと悲しくなってきた。見た目だけの派手さを追ったくだらない . . . 本文を読む
見終わった時、こんなに面白かったのに、なぜか少し不満が残った。それが何なのかは、すぐに分かる。映画はここで終わったわけではないのだ。ここからが、本当の始まりだったことに気付いた時、一刻も早くこの続きが見たいと思った。それが不満の正体だ。こんな気分はほんとに久し振りのことである。
「おいら、まだ女なんかにならない」と百鬼丸(妻夫木聡)に向けて告白するどろろ(柴崎コウ)の姿を見た時、ちょっと涙ぐ . . . 本文を読む
小原さんは『シークレット・ライフ』で村上春樹の文体で芝居を作り、小原版『ねじまき鳥クロニクル』を3部作として仕立てた。さらに『大丈夫な教室』では大教大附属池田小児童殺傷事件を扱ってホラースタイルで、人間の内面に迫り、新境地を開いた。昨年は、JR福知山線脱線事故を題材に『鉄橋の上のエチュード』を作り、今回、満を持して挑むのは北朝鮮による拉致、核実験問題を中心に据えて、憲法第9条に迫る壮大な物語であ . . . 本文を読む