死というテーマを扱いながらも、とても明るくて前向きな作品に仕上がっている。シンプルでわかりやすい。しかも、死を誕生と対比関係にしたため、後ろ向きな話にはならない。だが、底辺に流れる『死』というものへのいざないは、この作品の大事なテーマで、そこをおざなりにしたまま、『再生』のドラマとして単純に受け止めるのはまずい。
いままでのニュートラルにはなかったさまざまな意匠が見られる。ファンタジーっぽい . . . 本文を読む
これは無邪気な大学生たちによる学芸会である。2時間、てんこもりにされたバラエティショー。漫才あり、ダンスあり、コントにお絵書きまである。そして、もちろんお芝居も2本立てである。でも、あれは芝居とは言えない。思いつきで作ったショートコントに毛が生えた程度のものだ。
最初はわざとこういう稚拙なタッチで見せようとしたのかと思った。小学生たちのダンスチームが出てきて踊りだした時には、その唐突さと企画 . . . 本文を読む
ここからトランクの長い旅が始まる。アトリエでの5週間連続興行がスタートした。これは昨年公開された『100年トランク』のスピンオフだが、樋口さんの中では前作も含めた6つの作品はひとつにつながる長いドラマなのだろう。今回の『トランク』5部作は『100年トランク』とアプローチが違うが、同じ作品を角度を変えて見せる。だが全体で大河ドラマを構築するのではない。両者は点と線である。
別々の作品ではない . . . 本文を読む
北海道の朝鮮学校を取材したドキュメンタリー映画なのだが、淡々とした見せ方なのに、見終えたとき、深い感動に包まれる。様々なことが頭をよぎる。こんなに考えさせられる映画って、なかなかない。だが、これはメッセージ色の強いプロパガンダではない。政治的な色メガネでは見ないで欲しい。ただ純粋にこの映画が描く世界を目の当たりにするだけでいい。
だが、マンギョンボン号で北朝鮮に修学旅行に行くシーンにはドキド . . . 本文を読む
こんなにもバカな映画を平気で作ってしまう。山口雄大という大バカかんとくを尊敬する。ここまで果てしもなくくだらないことに、これだけの情熱を注ぎ込んで1本の映画を作ろうとする人は彼以外、日本広しといえども、誰一人おるまい。『地獄甲子園』を見たときあきれてものも言えなかったが、今回はあの再来では済まない。
あの鈴木則文(知らない人はぜひ彼のバカ映画に数々を見てもらいたい。まずは『伊賀のカバ丸』くら . . . 本文を読む