場の休憩室を舞台にして、紛失した牛の脳髄を巡るミステリ仕立ての劇。閉ざされた空間。ここにやってきた部外者の男。ここの2人の職員。彼らの現状が語られる。牛や豚を捌くという行為。この仕事に対する世間の目。30歳までニートをしていた男と、20歳そこそこで結婚し生活に追われてきた男。同世代の2人の出会い。彼らのなんでもないやりとりが緊張感を増幅する。彼らを包み込む今という時代の気分がしっかり描かれて . . . 本文を読む
フライヤーを見た時、この人たちはほんとにバカだなぁ、と思った。こういうセンスってなかなか出来ない。自分を棄ててる。捨て身だ。こんなフライヤ-を作るし、劇団名はこれだし、きっと凄まじくつまらないか、すばらしいか、そのどちらかしかないだろう、と思った。見なくてはならない、と勝手に使命感に燃えて劇場へ。
予想を上回るバカだった。呆れるしかない。よくぞこんな芝居をでっち上げたものだ。凄すぎる。やはり . . . 本文を読む
『パンズ・ラビリンス』の成功を受けて、再びギレルモ・デル・トロが本来のフィールドに戻ってきて好き勝手の限りを尽くす最新作である。よくぞここまでやってくれた。どんなことでも極めるというのは凄い。ちょっとアート系の映画で成功したらもうバカな映画には戻らないし、かっての自分の仕事を反故にしたいと思うような輩もいるが、デル・トロはそんな奴らとは違う。彼は筋金入りの超オタクだ。だいたいいつものタッチは抑え . . . 本文を読む