ショーン・ペン入魂の一作である。２時間半に及ぶ超大作だ。大学を卒業仕立ての若者がアメリカを旅する。そしてアラスカを目指す。両親に反発し、就職するでもなく、自分の生き方を模索する。旅を通して何かを発見する。
正直言ってこの男の甘っちょろい考え方には辟易させられるが、まだ子供だし、傲慢で身勝手なのは若さの特権だし、と、とりあえず思うことにして、何も考えずにこの子の旅を目で追うことにする。雄大な自 . . . 本文を読む
まるで浪花グランドロマンらしくない。正直いってすごい違和感があった。でも、こんな題材でこんな芝居を彼らが作るなんて驚きだ。そして、それがなかなか様になっているのだ。１００分間、とてもおもしろく見た。内容と演出がちぐはぐで、なんだかそぐわない。その両者の齟齬が作品世界を新鮮なものにする。これは怪我の功名か。不思議な魅力を形作る。だが、これによってNGRが新境地を開拓しようというわけではない。そんな . . . 本文を読む
淡い。淡すぎてなんだか幻を見たみたいだ。読後、透明な何かが心の隅にわだかまる。だが、それがなんだかはわからない。もう少し輪郭をはっきりさせて欲しい。そうすればきっと見える。大事なものの数々が。だが、この小説はそれを覆い隠してしまう。隠すのではなく、そんなものは最初からなかったものとでも言わんばかりだ。ただただぼんやりしたそんな小説だ。こんなにもおもしろいのに、明確なものは何も残らない。さっと消え . . . 本文を読む
