何なんだ。この異常な話は。原作は出版されたときに読んでいたから、お話自体にはさほど驚かない。充分その異常さは知ってるからだ。だが、この映画は、あの原作以上に異常なものになっている。しかも、話は原作そのままなのに、である。描写を過激にしたのではない。反対に淡々とさせたほどだ。なのに、途中で緊張は途切れない。こんな話が、日常の中でさらりと描かれる。これはコメディーではない。どちらかと言うと、ホラーだ . . . 本文を読む
久々に心ときめく映画に出会った。こういうラブストーリーが好きだった。でも、最近はこの手の映画にもときめかない、と思っていた。先日『君に届け』を見て、あんなにも乗れなかった自分が悔しかったのだが、それは必ずしも僕のせいだけではない。今日、この『(500)日のサマー』を見て、最初からワクワクしたし、ずっとスクリーンから(DVDなので、厳密に言えば「ブラウン管から」なのだが)目が離せなかった。トムとサ . . . 本文を読む
佐藤純彌監督入魂の一作である。75年の大傑作『新幹線大爆破』に匹敵するという評判だ。そんな噂を聞くと居ても立っても居られなくなり、さっそく劇場に行く。その構成にまず驚く。クライマックスであるはずの桜田門外の変が、冒頭40分くらいの時間に起きる。事件をクライマックスに持ってくるのが、この手のドラマの王道なのに、この映画はそこを最初に持ってきた。もちろんラストにもっと大きな見せ場があるのではない。こ . . . 本文を読む