ポ-ル・バーホーベンのあの傑作を20数年の歳月を経て、新たな視点からリメイクした。前作へのオマージュもあるし、ちゃんとリスペクトしている。ただの映画にはしない、という作り手の心意気はちゃんと伝わってくるのだが、いかんせん内容が今の感覚にそぐわない。これではただのロボット刑事もので、そんなのは東映映画に任せればよい。
半分はロボット、半分は人間という単純すぎる設定を逆手にとって痛快であるだけで . . . 本文を読む
5編からなる短編連作。微妙な人と人との関係性を軸にして展開するお話はなかなか面白い。最初の姉と妹のあやうい関係を描く『小生意気リゲット』のやさしいオチは良かった。両親を失いふたりきりの家族になったふたりが、姉の就職を機に同居する。でも、しばらく離れていたふたりの関係は、ぎくしゃくしてうまくいかない。妹との関係をどう保つのか。揺れる姉の心が描かれる。
ほかの4篇も基本は同じパターンだ。ただ、 . . . 本文を読む
まさかこんな映画だなんて、思いもしなかった。よくある「お涙頂戴の感動もの」かと思い、また、単純だから泣かされようか、と見始めたのだが、まるでそうではない。これは過激な映画だ。冒頭の事故で幸せな日々が一瞬で消えていく。だが、その後、愛娘を亡くした失意から、若い夫婦がどう立ち直るのか、というヒューマン・ドラマを期待したなら凄い肩すかしを食らうこととなる。
たまたま出会った女性のおなかの中の子供を . . . 本文を読む
進学校からドロップアウトして、誰も自分のことを知らない人ばかりの農業高校に入学した。そんな男の子の1年間のお話。この手の青春映画は枚挙に暇がないけど、この映画は凡百のその手の甘いラブストーリーとは一線を画する。吉田恵輔監督なのだから、当然だろう。
これはまず何よりも酪農についての映画なのである。なんと校内を1周すると20キロもある。どんだけ広いのか、目の前で映像として見ているにも関わらず、想 . . . 本文を読む
こういうとても小さな小説をさりげなく提示できるフットワークの軽やかさが今のよしもとばななの魅力のひとつなのだろう。イギリス西端の田舎町を女二人が旅する。特別な観光地ではない。何が起こるというわけでもない。ここにはお話なんかないに等しい。しかも、たった5日間ほどの出来事だ。というか、ここでドラマが起こるわけではないから、出来事もない。ふらふらして、観光地であるモンサンミッシェルのような孤島に行くく . . . 本文を読む