父が帰ってきた。遺骨になって。でも、彼はここにいる。今日も目覚めると、自分よりも先に父が起きていて、そこにちょこんと座っている。たったひとりぼっちになった娘と、死者になってしまった父とが一緒に過ごす時間を静かなタッチで綴っていく。井上ひさしの『父と暮らせば』の東日本震災版とでも呼べばいいようなお話だが、このささやかなお話は重い。
軽妙なタッチでコミカルに描くことも可能だった。だが、作者の石原 . . . 本文を読む
たった29歳で死ななくてはならない。末期にガンで、次の誕生日まで、命はないから30歳にはなれない。そんな青年(演じるのは今をときめくベネディクト・カンバーバッチ)が3人の友人たちと人生で最期の旅にでる1週間の物語だ。みんな、彼があとわずかの命で、この旅のあと、死を迎える運命であることは知っている。元気でいられる時間はわずかしかないから、その前にこうして最期の旅に出る。家族もそんな彼のわがままを受 . . . 本文を読む