前作『文明ノ獣』は今年一番の作品だった。それだけで十分満足なのに、年末にもう1本レトルト内閣の新作が見られる。そんな僥倖はそれが『智恵子抄』を題材にした作品と知り、ほんの少し不安になる。もちろん智恵子と光太郎を主人公にした「ただの文芸作品」だなんて思わない。だが三名刺繍さんが真正面からラブストーリーを紡ぐなんて、そんな王道をレトルト内閣がするなんて、「いやなんです」と思わず、書いてしまう。
で . . . 本文を読む
本当に久々に田口さんが別役実の2人芝居に取り組む。一体いつ以来になるのか。もう思い出せないくらいに久々だ。以前はずっとやっていた。毎年何回か、見た気がする。80年代終わりから90年代にかけて一体どれほど見たことか。そんな気がする。(でも、実際はそれほどではなかったかもしれないけど)条あけみさんと田口さんのコンビの別役作品を見た昔からスタートしてさまざまな組み合わせの芝居があった。
今回その流れ . . . 本文を読む
年に2回の公演ペースを頑なに守り続ける邂逅のクリスマス公演。6月の本公演は、「大阪春の演劇まつり」参加作品なので毎回欠かさず見ているけど、この冬の公演はなかなか時間が合わずに、見る機会が取れなかった。今回うまく時間が合い見ることができてよかった。彼女たちが本公演とは違って肩の力を抜いて挑む作品は、本公演以上に自分たちらしい作品になっている。90分というお手頃な上演時間もいい。
リラックスして、 . . . 本文を読む
ラストで後藤(たぶんこの字でいいだろう。要するに普通の「後藤」である)が帰ってくる。『ゴドーを待ちながら』をなぞりながら、そこに、とどまらない。というか、ただ、設定をパくっただけ。
天王寺のあべのハルカスが見える公園。天王寺公園ではない。ベンチのあるどこにでもある小さな公園。ゴトー(やっぱりここは「後藤」ではなく「ゴトー」にしよう!)の家の近くまで来た。3年前東京から大阪に行ってしまったゴトー . . . 本文を読む
月舟町シリーズの完結編。3部作ということだが、僕は番外編である『つむじ風食堂と僕』も含めて4部作だと思いたい。それぞれがまるで独立していて、まったく違う個性を持つ。だから、ぼんやりしていたらこれらがシリーズだなんて気付かないかもしれない。でも、それくらいの緩やかさがいい、と思う。今回は月舟シネマが舞台だ、と聞いていたのに、あまり映画館の話はない。これなら『それからはスープのことばかり考えて暮らし . . . 本文を読む