12支のえとをやりきった超人予備校は、果敢にも今度はえと以外の動物にチャレンジする。今回はタヌキだ。『タヌキ・イン・ワンダーランド』である。というか、タヌキはこのワンダーランドの住人だから、アリスにあたるのは、ふたりの人間たち。上原日呂と日枝美香Lなのだが、彼らが別々にこのタヌキの世界に迷い込み、そこで体験する不思議を描くというのが、今回のお話。いつも通り、とてもバカバカしく、楽しい。タヌキの学校 . . . 本文を読む
僕は初演も再演も見ているから、これで3度目になるので、免疫はできているけど、初めてこんな芝居を見せられた人は絶対戸惑うだろう。しかも、今回はスペシャル版で、芝居自体よりも、芝居の途中で劇場内に家を建ててしまうのだ。終わった後は再び壊して、更地にしてしまう。ウイングフィールドは、元はオーナーである福本さんの自宅だった。ビルの4階部分を住居としていたらしい。その当時の間取りを再現して、 . . . 本文を読む
丸尾丸一郎のオリジナル台本を得て、戒田竜治がそれを満月動物園の作品として仕上げる、とても豪華な作品。いつもの戒田さんとはひと味もふた味も違うテイストの作品にはなった。だが、それがあまり上手く機能していないことも事実だろう。
ミステリータッチで猟奇的な台本を、ロマンチックに仕上げたため、そこに齟齬が生じる。どちらにも徹しきれない中途半端さが作品を欲求不満なものにして . . . 本文を読む
モンスターが語る3つのお話と、その先にある少年の真実。4つの物語を通して、母の死という事実を受け入れられない少年の「心の旅」をファンタジーとして描く。これはもう一つの『みつばちのささやき』だ。あの映画の少女とモンスターの話が、少年とモンスターの話として置き換えられた。もちろん、お話自体はまるで別物なのだが、その底を流れる想いは重なる。どちらもスペイン映画という共通項は偶然ではないだ . . . 本文を読む
久々の横山拓也、作、演出作品。Iakuでは、演出は上田一軒に任せることが常だったので、それはそれでいいのだけれども、今回、横山さんが演出することで、どんなふうに上田演出と差をつけるのか、それが楽しみだった。その結果、だが、期待通りの新鮮さで、実に面白かった。
横山さんは上田さんよりも繊細だ。だから、壊れやすい。そんな危うさが作品の力になればいいが、なかなか微妙。今 . . . 本文を読む
この作品は、ストーリーに起伏がなく、お話に意外性もない。淡々と目の前の事実を積み重ねていくことで見えてくるものを描く。だから、これはとても難しい芝居だと思う。
障害を持つ子どもたちを収容する施設が舞台となる。そこにやってきたひとりの少年が、多重人格の少女と出会う。彼は人に触れられるのを恐怖する。そんな彼が彼女を守るため、自分から他者に(彼女に)心を開くことになる。 . . . 本文を読む