12支のえとをやりきった超人予備校は、果敢にも今度はえと以外の動物にチャレンジする。今回はタヌキだ。『タヌキ・イン・ワンダーランド』である。というか、タヌキはこのワンダーランドの住人だから、アリスにあたるのは、ふたりの人間たち。上原日呂と日枝美香Lなのだが、彼らが別々にこのタヌキの世界に迷い込み、そこで体験する不思議を描くというのが、今回のお話。いつも通り、とてもバカバカしく、楽しい。タヌキの学校とか、腹鼓大会とか、タヌキ社会、タヌキの家族の日常、等々が描かれる。ふたりの人間たちはタヌキの世界をかき回す。
木の葉がお金になるから、お金が使い放題、とか、でも、木の葉だけに早く使わないと、もとの木の葉に戻ってしまうので、彼らは貯蓄しないとか。どんどん使うから経済活動が活発化する、なんて。なかなか笑えるネタが満載。タヌキが人を食べるとか、タヌキは人に化けるとか、そういうネタから、話を広げる。過疎化は、人間社会に化けて混じることで進行したとか。そういうエピソードが体系的につながることで、この世界の全貌と、その問題点が浮き彫りにされたならいいのだが、そこまではいかない。
軽くこのたわいないストーリーを楽しみながら笑っていると、2時間が過ぎる。サラリとして、心地よい。作、演出の魔人ハンタームツルギによるとてもゆる~いタッチがいい。