15年前の中学生の頃に還る大人たち。そこで時間が止まったまま。見た目は十分に大人なのに、そこを極端に強調するため、40代、50代の役者たちが30歳を演じている。そのいびつさが笑えるのだが、(特に森本研典さんの30歳は厳しい)彼らの真面目な子供芝居がとてもいい。だから、だんだんそんな彼らの世界に取り込まれていく。30代になろうとする彼らは、本当はまだ十分には大人になってはいない。
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今回は3つのキャラクターを演じる。メニューは日替わり。彼女の十八番を披露する。大阪公演、初日のメニューは、とろくさい新人の接客する姿を淡々と見せていくカフェの店員、スマホの使い方の指導をしつつ、外国人旅行者にバス乗り場へ誘うおせっかいな大阪のおばはん。そして、帰省した息子の朝ご飯を出すオカン。
いつものようにわかりやすいキャラクターをパターンで見せていくのに、彼女 . . . 本文を読む
この小さな小説は、(大きな小説という言い方もヘンだけど、これも実にヘン)この世界のかたすみで、ひっそりと息を潜めるように生きる、たったふたりの毎日を静かに切り取るだけ。行助とこよみ。足の不自由な行助が、パチンコ屋に寄生するように店を出す、美味しい鯛焼きを焼くこよみと出会う。
やがて、彼女は交通事故に遭い、昏睡状態になる。彼は毎日見舞いに通う。やがて、目覚めた彼女な . . . 本文を読む
父親が倒れてしまい、いきなり実家の苺の面倒を見なくてはならなくなったグラフィックデザイナーの長男が、これまで大嫌いで逃げてきた農業と向き合うことになり、連鎖反応で起こった、家族崩壊の危機にも直面し、そこから新しい家族のあり方、自分の生き方を見いだしていく。よくあるハートウォーミングなのだが、読んでいて、目が覚めるような新鮮な感動を受けた。
自分が信じてきたものに対 . . . 本文を読む
実は公開初日にこの映画を見ている。だからもう2週間になるのだ。とても素敵な映画だった。(なのに、見た、と言うことだけで満足して、書くを忘れていた!)
湯浅政明監督は4月の『夜は短し歩けよ乙女』に続いて、2作品連続のスマッシュヒットを飛ばしてくれた。特にこちらは、大作仕様で、堂々たる作品。宮崎アニメの傑作トトロとポニョをミックスさせたような作品で、さらにそこの破壊的 . . . 本文を読む
前篇を見ていないので、いきなり後篇を見るのは、ちょっと無謀だが、前篇を見逃したので仕方なくそんなふうに見た。でも、十分楽しめた。
予定では2本連続で見ようと思っていたのだが、極度の不入りから早々に前篇の上映が終了し、後篇は、最初から1日1,2回上映でスタートして、2週間で終了してしまった。もったいない。こういう作品を2部作として上映するためには、もっときめ細やかな . . . 本文を読む
劇団員の3人の手からなるオリジナル台本を、3人の演出で贈るオムニバス。(1本目と3本目は作、演出が入れ替わる。2本目は新鋭日高さんの作、演出。1本目は劇団のエース下村さんで3本目は座長の南田さん)3本とも、トイレが舞台となる。そこには3つの個室がある。3人3様、それぞれの持ち味がしっかり出ているので、バラエティに富んでいて楽しい。2度の休憩(各5分程度)を挟んで2時間、飽きさせない . . . 本文を読む
この日(5月27日)は、たまたま山本さんの芝居2本立になってしまった。1人はコトリ会議の山本正典さんで、もうひとりは乾杯の山本握微さん。ふたりとも、とてもへんな人で、彼らの作る芝居は実に面白い。山本握微さんは、いつも入場料無料で公演を打つ。頑なに。今回もそうだった。(お客にとってはありがたい。でも、制作はたいへんだ!)
開演5分前に役者がこの喫茶店に入ってきて、コーヒーを注文し、 . . . 本文を読む
吉田大八監督の新作だから、それだけで楽しみだったけど、まさかの映画で驚き、あきれる。なんなんだ!これは。こんなへんな映画を作ろうとしたという事実だけでも驚嘆に値する。
一応メジャー映画だし、東宝シネマズで一斉公開している。単館系で上映されてもおかしくないようなタイプの作品。キャストも地味。なんとリリー・フランキーが主演なのだ。亀梨和也も出ているけど、アイドル映画で . . . 本文を読む