小嶋陽太郎のよるジュニア小説。中学1年生の3人の男女のよる小さな冒険の物語。読みながらこれは依然読んだ気がする、と思い不安になる。最近ボケてきていて以前読んだ同じ本を気が付かず読んでしまうことが多々ある。だからできる旧刊は読まないようにしているのだが、小嶋陽太郎の読んでいない本を見つけたのだから、と思いついつい借りてきた。しばらく読んで、気になったので調べたら、実は3年前にこの本の続編を読んでいたのだ。主人公の3人組のお話で、だから読んだ気になっていたのだ。(たぶん。)納得。
恋愛ものではない。小学生気分がまだ抜けきらない3人は、幼い子供である。近所にある古墳の謎を解くために奮闘するところから始まる。男子2人のチームに女の子が加わる。小説自体が小中学生向けなので、最初は少しもの足りない。といっても、小嶋陽太郎だから、いつもの彼の作品だってYA小説に分類されるような作品だ。高校生や大学生という大人になる直前の子供を描いているから、年齢的には少し下がっただけであまり変わらない。
読んでいるうちに違和感はまるでなくなる。さらには途中からちょっと恋愛小説っぽくもなる。幼い彼らの行動を追いかけながら、子供だから、とか、大人だからとか、どうでもよくなっていく。でも、子供だからできることがここにはちゃんと描かれているのがいい。終盤の展開は少しありきたりで、あまりによくできたお話になりつまらないけど、ジュニア向けの作品だから、子供たちがこういうわかりやすい終わり方はうれしいことだろう。先生の恋も実ってよかった。