このタイトルは怖い。小説はストレートにこのタイトルのままのことを核心に置いて、そこに向かって進んでいく。ミステリタッチの作品で、なんでもない日常の描写の積み重ねなのに、それがこんなに心をざわめかせ、不安にさせていく。お話はやがて、とんでもないところへと、向かう。なんとなく、違和感を感じる。でも、そんなのは自分の勘違いでしかないのかもしれないと、思おうとする。そうじゃなくては、耐えがたい。妊娠して精神が不安定になっているから、ささいなことに過敏になっているだけ。でも、そうじゃない。このざわざわしたものが、確かに、何かが起きていることの兆候なのだ。ただ、それが自分には見えない。そのもどかしさ。やはりこの不穏な空気は耐えがたい。
夫が海外勤務となり、自分は臨月になり、彼が出産に立ち会えないまま、ひとり東京で子供を産むのは不安だから、大阪の実家に戻って出産しようと思う。だが、実家の反応はよくない。でも、どうしようもないから、里帰りする。家の中の空気がなんだかピリピリしている。
ここから、不在の3年間に自分の知らないところで起きた出来事が、見えてくる。最初はドキドキしたけど、だんだんあまりに話が出来過ぎで、少し、冷めてしまった。だが、それでもこれはとてもよく出来た小説だ。子供の命に重いとか、軽いなんかない。だが、ここに描かれる状況に対して、そんなことがあれば、確かにいろんなことを思うよ、と思う。(ネタばれになるから、書かないけど)
ラストの妹との部分は、身に沁みた。傷ついた彼女を守れるのは自分しかいない、という状況の中での彼女の選択は、尊い。今自分に必要なものとは何なのか。誰もが立ち止まって考えなくてはなるまい。
夫が海外勤務となり、自分は臨月になり、彼が出産に立ち会えないまま、ひとり東京で子供を産むのは不安だから、大阪の実家に戻って出産しようと思う。だが、実家の反応はよくない。でも、どうしようもないから、里帰りする。家の中の空気がなんだかピリピリしている。
ここから、不在の3年間に自分の知らないところで起きた出来事が、見えてくる。最初はドキドキしたけど、だんだんあまりに話が出来過ぎで、少し、冷めてしまった。だが、それでもこれはとてもよく出来た小説だ。子供の命に重いとか、軽いなんかない。だが、ここに描かれる状況に対して、そんなことがあれば、確かにいろんなことを思うよ、と思う。(ネタばれになるから、書かないけど)
ラストの妹との部分は、身に沁みた。傷ついた彼女を守れるのは自分しかいない、という状況の中での彼女の選択は、尊い。今自分に必要なものとは何なのか。誰もが立ち止まって考えなくてはなるまい。