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コロナ渦で公開が延期になり、今年の3月にようやく公開されたアクション大作。吉田修一のエンタメ小説の映画化。原作はとても面白くこれが映画化されると知り、とても楽しみにしていた。だけど、見始めてこれは一体何ごとなのかと驚くこととなる。派手でスケールに大きいスパイアクションのはずなのに、お話があまりに拙くて、見てられない。頑張って派手なアクションを作ろうとはしているけど、それすらなんだかしょぼくて、恥ずかしい。ハリウッド映画に較べると日本映画はダメだ、という常套句はこの映画のためにあるのではないか、と思わせるくらいに中途半端なスケール感なのだ。その差は先日見た『ブラック・ウイドウ』と比較すれば歴然だろう。
原作があれほど面白いのだから、まずストーリーで引き込むべきだった。なのに台本が穴だらけでそれを中途半端に派手なアクションでつないでいくからどんどんダメな映画になっていく。少年時代のお話も、中途半端なのでそこでお話を引っ張れないどころか、何のためにそこを見せるのかもわからなくなる。
なぜ原作を読んだとき面白いと思ったのか、どこにその要因があるのか、それさえもこの映画を見た今ではまるでわからない。この映画を見てこんなお話の小説なのに、それを面白いと思えた理由が知りたいと自分に問いかける始末だ。吉田修一によるエンタメ・アクション小説なんて、と眉唾で読み始めた記憶はある。でも、確かに面白かったしシリーズは3冊とも確かに読んでいる。なのだけど、今日この映画を見た後の脱力感は半端ではない。バカバカしい設定で荒唐無稽なお話にしか見えてこない。