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映画・演劇のレビュー

『パリ13区』

2022-04-28 10:30:49 | 映画

なんだかまるで共感できない男女4人のお話。舞台となるパリ13区は高層住宅が並ぶ再開発地域で、絵に描いたような「ザ・パリ」という光景ではない。アジア系移民がたくさん暮らす地域らしい。主人公の女性も中国からの移民。祖母の住んでいたマンションで一人暮らしをしている。(祖母は今は施設に入っている)ルームシェアにやってきたカミーユが男性で、最初はさすがに知らない男との同居はなんだかなぁ、と断るけど、強引な彼の押しの強さに負けて、同居することになる。32歳で大学に復帰した女性は、金髪のウイッグを着けて派手な格好でパーティに行き、ポルノ女優と間違えられショックを受ける。以上、4人がお話の中心を担う。

モノクロの映像は美しいのだが、大胆な性描写にたじろく。「つながるのは簡単なのに、愛し合うのはむずかしい」とチラシのコピーにはあるけど、そんな単純な話なのか、これは。まずセックスがあり、そこから愛が生まれるという順番が新しいとは思わないけど、そんな彼らによるこういう恋愛ドラマにはついていけない。この4人の中で一番まともなのは、ポルノ女優の女性ではないか、と思う。誰がまともで誰が異常だとか、そういう問題ではないのだろうけど、見ながらこんなにも共感できない人たちばかりが出てきて、それがさも自然なことのように描かれるのにはなんだかなぁ、と思うしかない。

ジャック・オディアールが監督して、脚本があの『燃ゆる女の肖像』を撮ったセリーヌ・シアマなので期待したのだが、僕には合わない映画だった。悪い映画ではないし、新鮮な驚きがある作品なのかもしれないが、なんか好きじゃない。


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