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映画・演劇のレビュー

『ONCE  ダブリンの街角で』

2008-08-11 08:18:46 | 映画
 なんとそっけない映画だろうか。ストリートで歌う男が、そんな彼の歌に耳を傾けた、ちょっと変わった女に興味を持つ。2人は音楽を通してなんとなくひかれあい、そして1枚のCDを作る。男はダブリンを出て、ロンドンに行き、音楽で身を立てようと思う。そんな彼を周囲の人たちは温かく見守り、応援する。

 たったそれだけの映画だ。なんの変哲もない。なのになんだろう、これは。なぜだか爽やかで見終えて感動してる。こんなあっけないし、そっけない映画に、である。全編を、彼と彼女の歌が流れる。音楽映画である。ストーリーは先に書いた通りで、とても単純で新しいことは何もない。どこにでも転がっていそうな話だ。一応この2人のラブストーリーにもなっている。しかし、これといった劇的な展開なんか用意されてはいない。

 ダブリンの町をギター抱えて浮遊する。穴の開いたおんぼろギターと、楽器店で使わせてもらったピアノによるセッション。心地よいメロディーと、ハーモニー。このとても小さな映画は僕たちにささやかな夢と希望を与えてくれる。なんてことないお話の中に大切なものがいっぱい詰まっている。

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