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まるで『PとJK』と同じじゃないか、と思わせる設定。交番の巡査と女子高生のラブストーリー。でも、さすがにそこまで猿まねはしない。というより、そこが大事なところではない。これはいつものように小路幸也お得意のパターンなのだ。『東京バンドワゴン』と同じような、小さな町の小さな事件を巡る家族の物語。主人公のふたりの話ではなく、彼らを中心にしたその周囲の人たちとの関わりの中で、ある家族(育児放棄の妻、家族を顧みない夫)を家庭崩壊から助けるお話。
25歳のイケメン警官と、同い年の渋い二枚目僧侶。二人は幼なじみ。そんな彼らのところに、2人の女子高生がやってくるところから始まる。あまりに都合よく話がつながっていくから、突っ込みどころは満載なのだが、気にしない。小路幸也はわざとそういうふうに作っている。気持ちよくお話の世界に入ってくださいね、というサインだ。
そんなことより、この小説のもう一つの設定は、先日見たばかりに映画、『神様の思し召し』と見事につながっていることに驚く。これもまた、いつものことだが、たまたまつながりで、面白い偶然が連鎖していくのだ。あの映画の「医者と神父」という設定とこの小説の「警官と僧侶」という主人公2人の対比である。(実は女子高生と警官という設定よりもこっちのほうがお話の前面に出る)
人の命を救う、とは何なのか。正しいことをする、って何なのか。そんなとても根源的な問いかけに対して、この2本の映画と小説が、ちゃんと答えを出してくれる。神様や仏さま。人の命を救う医者や警官。対比を通して本質に至る。しかも、コメディやハートウォーミングというとても親しみやすい外観で。ヴェンダースの『ベルリン 天使の詩』の天使のように、神様や仏さまが、きっとこの世界にはちゃんといて、僕たちを優しく見守っていてくれる、ということを信じさせてくれる、そんなお話。
『神様の思し召し』のふたりは反発し合ううちに友情を育てるというパターン(でも、それも最初から神父の手のひらで泳がされていただけかも)だったが、こちらは、仲好し2人組が女子高生に協力して、ダメダメ男を助ける話。悪徳ガールズバーの店長が、いい人になる。
まぁ、それぞれ多生の設定の相違はあるけど、本質の部分では、とんでもなく、よく似た作品のような気がするのだが、まぁ、僕が勝手のそう思い込んでいるだけか。