まさかこの映画がこんな映画だった、だなんて想像もしなかった。一応ホラー映画だろうとは思っていたが、安物のUFO映画だったなんて、ありえない。設定も展開も史上最悪。こんなバカな脚本とわけのわからない宇宙人👽の映画にGOサインを出したのは誰だ?
相葉雅紀は本気でこんな映画に出演したのか。松本穂香はあんなアホな先生役を演じて恥ずかしくなかったのか。野間口徹は何の疑いもなく、あの教頭のあんなセリフを受け入れて演じたのか。
これは一応児童映画(!)なのだが、今時の児童はこんな情けない映画、バカにして見ないだろう。児童に対して失礼だと思う。
冒頭のホストクラブの売り上げ金7500万強奪事件からしてアホらしい。山奥に埋めるためにスコップ持参で行くとか、本気か、と思った。そこにはリアリティのカケラもない。お話の摑みのところからもう呆れる始末だ。
中田秀夫監督作品だから見た。昨年の『禁じられた遊び』も酷かったけど、あれを遥かに凌ぐ惨さだ。一昨年の劇場公開時に見送ったのは何だか嫌な予感がしたからだった。なんだか不気味でそれなりによく出来た予告編を見て、どんな映画だがわからないけど、あまり期待できないなと不思議なふうに思ったのが当たっていた。この映画は普通じゃない。
僕は初期の中田映画を信奉している。『女優霊』『リング』『仄暗い水の底から』の3作はホラー映画の金字塔だ。90年代末から21世紀初めのことである。あれから20年。ホラーを中心にしてそれ以降駄作ばかりを作り続けているにも関わらず、僕はまだ彼に「何か」を期待してしまう。唯一気を吐いたのは『怪談』くらいだろうか。だけどあれだって小林正樹の同名タイトルの大作には及ばない。
昔話はこれくらいにして、このわけのわからないB級宇宙人映画を何のつもりで作ったのか、に思いを馳せよう。森の熊さんの歌から始まる予告編は悪くないし、あのテイストが本編にも生かされていたならまた別の意味で面白い映画に出来たかもしれない。なぜ宇宙人なのか。彼らが子どもを攫うのは何故か。そこから発想したらまだ可能性があったかもしれない。だけどそれはない。
江口のりこの妻とか、小日向文世の老人とか、彼らほどの役者があんな役で登場すること自体が冗談にしか思えない。ドッキリかい、と思う。ふざけているみたいだ。悪口ならいくらでも書けるけど書けば書くだけ虚しくなる。残念だ。