『図鑑に載ってない虫』

　ここまで無意味でくだらない映画は他にない。三木聡のこれまでの作品すら遥かに凌ぐ脱力系コメディーである。思いつきといいかげんを身上に、どうでもいい話を何だかよくわからないまま必死にになって作っていき、そのくせそれをおざなりの見せ方で示す。「思いつき」なので整合性なんかまるでないし、「いいかげん」なんですぐごまかして話を先に進める。

　まぁ、語るべき話なんてまるでないから、ただ煎餅でも齧りながら、ボーッとして見ていたらいい。夢でも見てる気分で９０分、あっという間の出来事である。ゲロとか、汚いシーンが山盛りだけどそんなこと気にしない人なら大丈夫。伊勢谷友介とか菊地凛子がカマトト演技をするし、ありえないギャグ満載。あきれ果てること請け合い。話わタイトル通りのことで、死にモドキという虫（図鑑に載ってない虫ね）を探すロードムービー。この虫があれば一度死んでもすぐ生き返ることが出来るらしい。この虫を捕まえて臨死体験をしてルポを書けという編集長からの指令を受けて伊勢谷とその連れである松尾スズキがしっちゃかめっちゃかの旅をする様が描かれていく。

　いつものように岩松了とふせえりの２人組が今回はヤクザで出てくる。松尾スズキも楽しそうだ。こんなバカえいが（バカ過ぎて思わずひらがなになってしまう）のために、みんなが夢中になれるなんて日本という国は本当に平和だなぁ、と思う。あんまり楽しいので２回も見てしまった。限りなく時間の無駄使いだと思うが幸せなのでいい。

　冒頭の水野美紀の場面なんて美人女優がこんなことしていいのか！と驚かされる。おならして、パンツにうんこ漏らしてしまうのだ。あんまりである。