とてもかわいらしいお話になっている。久々に本格的学生劇団の王道を見せてもらえた気分だ。変にすれることなく、きちんと自分たちの見せたいものを演劇としてストレートに描き、訴えかけてくる。そういう正直な作品作りがいい。幼いといえば、これはかなり幼い芝居だろう。だが、言いたいことを照れることなく、自分たちの語り口で見せて行こうとする姿勢にはなんの問題もない。変に捏ねくりまわして、独りよがりで、頭でっかち、しかも、何も伝わりきらない、そんな恥ずかしい芝居になるよりは、この素直さの方が潔い。
もちろんこの作品の作者たちはいろんな作戦を立ててこの作品を作っているはずだ。これは考えなしの無謀な芝居ではない。単純に愛の大切さを訴えかけるのではなく、いろんな工夫が凝らされてある。3組の男女の対比とか、死んでしまった恋人との板挟みとか。でも、それがごたごたするばかりで、すっきりとは伝わらないし、あまりうまく機能しているとは、言い難い。作り手の意図は見えるけど、もう少し、見せ方に配慮が必要だ。ストーリーではなく、この場所の持つ力を観客に信じさせるような仕掛けが欲しいのだ。奇跡を信じさせるだけの「何か」がなければ、こういうファンタジーは成立しない。なんとなくの筋立てだけでは、納得できないし、伝わらない。
それは、タキシードを着て、デートに来るという変態的行為を信じさせるもの、でもいい。不思議な設定をいかに納得させ、その作り出す世界に観客を乗せきれるかが、作り手の腕の見せ所なのだ。タキシード(らしい)の青年とその婚約者。結婚式を目前にして、彼女の心が揺れ動くというとてもベタな設定。彼らを中心にして、そこから始まる3組のそれぞれ抱える事情が交錯していくドラマは、とてもわかりやすい。そこに奇跡の石の番人や、天使のような少年、タキシード男のストーカー男が絡んできて、なんだか不思議な世界を形作る。狙いは悪くはない。それらのエピソードに何らかの化学変化を与え、ドラマを動かすことが出来たなら、これはちょっと不思議な愛の寓話にもなったはずだ。
もちろんこの作品の作者たちはいろんな作戦を立ててこの作品を作っているはずだ。これは考えなしの無謀な芝居ではない。単純に愛の大切さを訴えかけるのではなく、いろんな工夫が凝らされてある。3組の男女の対比とか、死んでしまった恋人との板挟みとか。でも、それがごたごたするばかりで、すっきりとは伝わらないし、あまりうまく機能しているとは、言い難い。作り手の意図は見えるけど、もう少し、見せ方に配慮が必要だ。ストーリーではなく、この場所の持つ力を観客に信じさせるような仕掛けが欲しいのだ。奇跡を信じさせるだけの「何か」がなければ、こういうファンタジーは成立しない。なんとなくの筋立てだけでは、納得できないし、伝わらない。
それは、タキシードを着て、デートに来るという変態的行為を信じさせるもの、でもいい。不思議な設定をいかに納得させ、その作り出す世界に観客を乗せきれるかが、作り手の腕の見せ所なのだ。タキシード(らしい)の青年とその婚約者。結婚式を目前にして、彼女の心が揺れ動くというとてもベタな設定。彼らを中心にして、そこから始まる3組のそれぞれ抱える事情が交錯していくドラマは、とてもわかりやすい。そこに奇跡の石の番人や、天使のような少年、タキシード男のストーカー男が絡んできて、なんだか不思議な世界を形作る。狙いは悪くはない。それらのエピソードに何らかの化学変化を与え、ドラマを動かすことが出来たなら、これはちょっと不思議な愛の寓話にもなったはずだ。