習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『252 生存者あり』

2008-12-26 20:20:07 | 映画
 評判通りのとんでもない映画だった。噂があまりに酷すぎて、反対に弁護してあげたくなるくらいだ。気の毒すぎる。作者たちはまじめに一生懸命作っているのだから、からかわないであげて欲しい。水を使ったスペクタクルは凄いし、地下鉄構内のシーンや、SFXは見事だ。それに較べてお話のほうがあまりにお粗末。

 全編突っ込み所満載の超剛球巨編である。どこから話をすればよいのか、悩む。何よりもまず、台風はいったいどこに行ってしまったのでしょうか?17分間だけ台風の目に入り風が止むから、その間に救出するのだ!とかいうシーンがクライマックスなのだが、みんなあまりに感情過多で、そんなにのんびりしてたら17分なんか、すぐに過ぎちゃうよ、と思うのだが、この人たちは気にしない。兄弟の再会とか、親子の対面とか、盛りだくさん。

 じつはそんなことよりまず、救助のために大挙して人たちがあつまりお祭り騒ぎで、一挙手一投足を見守るのってどうなんだろうか。お天気お姉さんの香椎由宇とか、あんな危険な現場に連れて行っていいんですか?救出した人を病院とか搬送しなくていいんですか。ラストで伊藤英明が山本太郎を抱えて出てきた時さっさと太郎を受け取ってあげたらいいのに、誰も何もしないでずっと見てるだけ。それでいいのか、レスキューの人!だいたい陥没していく危険なところをみんなうろうろしていて危ないと思います。野次馬はやめて避難して欲しい。

 と、いうか、そんなことより救出が済んだらさっさと巨大台風が来て、大荒れ模様になって欲しいのに、そこでエンド。ええっ!これ史上最大の大型台風東京襲来とか、そんな話ではなかったんですか。前半の雹が降ってくるシーンがあまりに凄まじすぎて、あれはなんか宇宙人襲来みたいでした。パニック映画だと思ったのに、なんか、何もない映画で、閉じ込められた5人のうだうだと、レスキュー隊がうだうだの、うだうだ映画。

 伊藤英明は『海猿 リミット・オブ・ラブ』の続編みたいで、タンカーが廃墟の地下鉄駅に変わっただけ。まるで同じパターン。加藤あいが桜井幸子になり今回は子供もいます。子供かわいいけどなんか、わざとらしいストーリーになり、あざとい。この手の大作映画はみんなが見るから、わかりやすく浪花節にしなくてはいけないのかもしれないが、あまりにありきたり。
 
 今年のお正月映画は、もうひとつまるで同じ題材の『空へ』もあり、なんだか企画の貧困さを露呈しているよう。切り口まで同じなのはなんだか、と思うが。

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