このタイトルに心惹かれてこれを読むことにした。田丸雅智が書き綴る「おとぎカンパニー」シリーズの一作らしい。僕は今回初めて読んだけど、少し長めのショートショートという感じで、読みやすい作品だった。10篇からなる短編集。
最初はタイトルにある遅刻する食パン少女のお話。(『街角の恋』)実にたわいもないお話で読み流すだけだ。でも、それなりには楽しく読める。すぐに読み終えることができるので通勤(今は週に2回しか働いてないけど)の電車の中で読むのにちょうどよい程度。
2話目から最後まで、同じ調子。アイデァはなかなかいいし、ちゃんと読ませはする。でも後には何も残らない。タイトルに解説用のサブタイトルがついていて、それがなんだか楽しいし、内容を思い出すにはちょうどよい。たとえば、『お客様の中に』という作品には「お医者様はいらっしゃいませんか?」というように。だから最初の一篇『街角の恋』のサブタイトルはもちろん「遅刻する食パン少女」だ。だからどうした、という感じだけど、でもなんだか楽しいではないか。たったそれだけのことなのに。
別にどうでもいいけど、一応僕が一番楽しめたのは7話目の『肩車士』(前の車を追ってください)かな。タクシーのように肩車をする人が町を流していて、肩車して目的地まで連れて行ってくれるというお話。