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映画・演劇のレビュー

『アンダルシア』

2011-06-23 23:16:28 | 映画
 『アマルフィー』に続いて織田裕二演じる外交官黒田の活躍を描くシリーズ第2作だ。今年1月にはTVシリーズにもなった。相変わらずTV局は商売が上手い。ちゃんとTVと映画を連動させ高視聴率と大ヒットを同時に狙う。映画からTVへ、そして再び映画というパターンは『海猿』と同じだ。だから、というわけではあるまいが≪ミスター海猿≫伊藤英明が出ている。

 今回の舞台はスペインのアンダルシア。そこを中心としてヨーロッパを駆け巡るという前作と同じパターン。お話の方はマネーロンダリングと、偽の油田投資で100億円を騙し取られた邦人の殺害事件。この2つを絡まして描く。

 当然今回も観光映画で、風光明媚なヨーロッパの景観をバックにしてこの壮大な陰謀(?)が描かれるのだが、なんだか、こういう映画って、もう古い。今時こんなものを作っても観客は誰も見向きもしないのではないか、と思った。だが、前作はヒットして、ちゃんとこうして2作目も作られる。なんとも不思議だ。今回もヒットするのだろうか。まぁ、これだけの大作である。フジテレビはこけたら困るだろう。だから大宣伝を展開する。

 織田裕二は、伊藤英明が演じるインターポールの男と2人で、反目仕合ながら、事件を解決していく。謎のヒロインは黒木メイサ。この3人が主人公として全編出ずっぱりで頑張る。特に織田裕二はすごくキザで、ええ格好しいだ。伊藤はワイルドで、黒木はミステリアス。なんとも手垢のついたワンパターン。織田はちょっとやりすぎで、なんか笑える。

 ストーリーの方はなんだか複雑だが、どんどん舞台を変えていき、飽きさせない。なんだかこれって往年の007映画みたいだ。まぁ、そういうところが古くさい理由なのだが。派手なアクションもあるし、大予算でスケールの大きな映画にはなっている。だが、この映画を見て、僕たちは何を楽しめばいいのだろうか。西谷弘監督はこの困難な娯楽映画をちゃんとドライブしている。だが、それ以上のものはここには何もない。

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