劇場でこの映画のチラシを見て驚いた。これはつい先日たまたま見た映画ではないか、と。この10月14日から公開される韓国映画なのだけど、一足早く、見てしまった。夏に飛行機で見た映画だ。アシアナ航空だったので、ラインナップは韓国映画が充実していたのだが、いかんせん字幕が英語しかない。もちろん韓国語はわからないから、少しためらったのだが、見てよかった。僕の英語力(映画力?)でも理解出来る範囲の内容だったし、そんなことより何より、実に面白かったのだ。よくある「タイムスリップもの」なのだけど、実にシンプルなのに、最後の最後までひねりがあって、緊張が持続する。甘いラブストーリーだけど、それがどうした!と言いたくなるほど王道を邁進して感動に至る力作。
2015年から30年前へと時空を越える。もう一度彼女に逢いたい。それだけを叶えるためにあの日に戻るのだが、そこで30年前の自分と(もちろん彼女にも)出会う。あの頃の自分と向き合い、彼とともに歴史を書き変える。どうしても彼女を死なせたくはない。だが、一つ書き換えると、そこからいろんな不都合が生じる。すべてを上手く収めることなんか出来ない。
『バック・トゥー・ザ・フュチャー』の時代から散々やり尽くされて手垢がついたパターンだ。だが、それを新鮮なものにしてしまうのは、彼らの想いの深さだろう。甘いだけのラブストーリーではなく、大切な人を守り抜くためには何が必要なのかが、ちゃんと描かれてある。しつこいくらいのラストの展開も、ただお話を面白くするためだけではなく、必然性があるのが素晴らしい。
疲れた顔のキム・ユンソクがいい。人生を諦めて、これまでの時間を死んだように生きてきた50代の中年男。たった20分間。10回だけの過去への旅。夢が実現した後、夢を現実にしたいと願うこと。どんどんエスカレートする想い。そこに取り込まれるのではなく、そこにいる若い頃の自分を助けたい、と思うだけ。もちろん、心地よい夢にほだされているだけなのは、わかっている。でも、抑えられない。これからの公開なのでストーリーは書けないけど、僕はとても楽しめた。