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映画・演劇のレビュー

『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』

2014-11-03 21:03:26 | 映画
これはなんてストレートな映画だろう。このタイトルそのままの作品だ。タイムトラベルを扱うけど、SFではない。ただのラブストーリーだ。というか、「ただのラブストーリー」って、なんだ? 

思わず、そう言いたくなるほどに、これは何よりもまず、愛の物語だったのだ。そのことに驚く。誰かを好きになる。なんとかして彼女を自分のものにしたい。そのためには、なんでもする。と、こう書けばなんだかこれはストーカーの話みたいで、気持ち悪いけど、そうじゃない。(とは、言い切れない)でも、これはストレートで、素直な映画だ。

 タイムトラベルが出来る家系の男の子が主人公だ。まるで科学的根拠なんかない。でも、出来ちゃうのだから仕方ない。彼はその能力を彼女との愛に捧げる。何度でも過去に戻って、綱渡りで彼女との関係を成り立たせて見せる努力をする。これはそんなバカな話なのだ。コメディなら許せるけど、リアルなお話には到底ならないはずだ。なのに、このお話で、こんなにもシリアスなラブストーリーを作るのだ。監督は『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス。

 むちゃだ。でも、そんなこと、承知で話を強引に推し進める。そのひたむきさ。彼はただ、彼女が好きで、彼女と人生を歩みたい。そして、ただふつうの人生を送るのだ。そんなお話にタイムトラベルが描かれる。

 映画を最後まで見たならわかることがある。そこで、ただ言えることは、こういうことだ。

 僕たちが毎日こうして生きていること、それが「タイムトラベル」なのだ。時間の中を旅する。そこに気づく。胸が熱くなる。

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