10篇の短編からなる。いずれも恋の終わりを描く心象風景。ほんのささいな出来事が恋の終焉を自覚させることとなる。なんだか胸に痛い話ばかりだ。さりげない、というかそっけないようなタイトルが並ぶ。『幽霊』『手紙』『奥さん』という感じだ。『自伝』『犬』『金』と続く。
そっけないがそのそっけなさが魅力的でもある。向かいの家の男との1度の過ちの記憶。恋人の手紙。マンションの奥さんたちとの情事。自伝を書いた男とその編集者。夫の会社の同僚の男が飼っていた犬を貰い受ける。隣の奥さんの涙。
そのひとつひとつを思い出すと、くっきりとした風景が浮かんでくる。別れる瞬間の記憶がそこにはある。明確な決定的瞬間というわけではない。だが、あれがきっとその瞬間何だと、やがてわかる日がくる。そうなる以前の生々しい時間がひっそりと提示されていく。
そっけないがそのそっけなさが魅力的でもある。向かいの家の男との1度の過ちの記憶。恋人の手紙。マンションの奥さんたちとの情事。自伝を書いた男とその編集者。夫の会社の同僚の男が飼っていた犬を貰い受ける。隣の奥さんの涙。
そのひとつひとつを思い出すと、くっきりとした風景が浮かんでくる。別れる瞬間の記憶がそこにはある。明確な決定的瞬間というわけではない。だが、あれがきっとその瞬間何だと、やがてわかる日がくる。そうなる以前の生々しい時間がひっそりと提示されていく。