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映画・演劇のレビュー

『ヒックとドラゴン』

2011-03-09 21:59:19 | 映画
このアニメーション映画は観客動員ではふるわなかったようだが、内容面ではすばらしく、昨年のヒット作だ。劇場公開時は『トイストーリー3』の影に隠れてしまい、目立たなかったが、これはとてもよくできた映画で、『トイストーリー3』と同じくらいに感動的だった。こんなアニメ映画がコンスタントに作られているって、なんだか凄いことだ。これを見過ごしてしまうのは、もったいない。

弱虫のバイキングの子供ヒックが、ドラゴンを助けて、彼と過ごす中で、成長していく姿が描かれる。簡単に書くと、いかにも、な話だ。だが、それがほんのちょっとした仕掛けで、輝く。この手のアニメ映画の凄いところはそこにある。単純なストーリーにほんの少しアレンジを加えることで、今までになかったものとなる。

先に「弱虫」と書いたのだが、実はそうではない。彼のやり方がみんなには理解できないだけなのだ。本人も空回りしている。勇敢に戦おうとする。だが、上手くいかず、みんなの足手まといになる、という図式だ。理解されないことのもどかしさ。そこがちゃんと描かれてあるから、この映画に奥行きが出来たのだ。傷ついたドラゴンとの交流部分も、あまりベトベトしないのがいい。「2人の世界」のような描き方ではなく、お互い最初はきちんと距離を取りながら、警戒し、でも、徐々に心開いていく。こんなの当たり前の展開だろうが、この筋書き通りのパターンを丁寧に見せる事で映画は力を持つことになる。

この映画も、劇場公開時は例によって3Dだったが、3D映画は2Dで見ても奥行きが計算されていているからおもしろい。(というか、いつも言うことだが、疲れない分、2Dのほうがおもしろい)人間とドラゴンが共生する世界が出来るというラストも気持ちがいい。単純だがとてもよく出来た映画だ。


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