少年犯罪を扱った小説。かなり不快な話だ。SNSの匿名の書き込みで追い詰められて自殺した作家志望の男が可哀想すぎる。
彼が新人文学賞を受賞した後、落選したある作品の作者である少女が殺人を起こした。まだ15歳、中学生の少女だ。彼女の殺人の動機は自分より下手な小説が受賞したから。そんな理不尽なこと、あり?
それに対しての無責任な酷い書き込みが彼に追い討ちをかける。だが、少女の動機はその後一転する。殺された同級生の虐めへの報復、家族の無理解。
作家志望の真面目な男は精神的に追い詰められ、自殺に至る。彼には何の非もない。お話は殺人とこの自殺の連鎖から始まる。
主人公は自殺した彼の担当だった若手女性編集者と、落選して殺人に及んだ15歳の少女の篤志面接委員の元教師の女性のふたり。それぞれの側面から事件を追う。(ラストにはあっと驚く展開が待つが、それはここには書かない)
やがてお話は少女と篤志面接委員の面談から核心に向かう。新人賞に落選して翌日同級生を刺殺した少女の真実。彼女との面談からすべてが明らかになっていく。
読み応えのある作品だし、お話もよく出来ている。まさかの展開でラストまで緊張感が持続する。