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映画・演劇のレビュー

小路幸也『東京バンドワゴン レディ・マドンナ』

2013-08-11 18:01:42 | その他
これでシリーズ第7作となる。こうなると、もうどこまでも書き続けて欲しい。でも、マンネリになることはない。これは確信犯だからだ。寅さんみたいなものだ。

でも、友達の輪はどんどんつながり、この先どうなるのやら。やがては収集がつかなくなるのではないかと、そこは心配。小路幸也の才能とアイデアが枯れることなく続くことを祈るしかない。実はもう第8作も発売されている。ということは、これは昨年刊行されていたのだ。僕が知らなかっただけだ。悔しい。早く読みたかった。でも、おかげでこの夏2冊も『東京バンドワゴン』が読めるのだ。

しかも、今回とうとうTVドラマ化もされるようだ。ようやく、って感じなのだが、なんだかちょっと怖い。往年のTVドラマへのオマージュであるこの小説が、どんなドラマになるのか、想像出来過ぎて反対に不安になるのだ。

さて、本作である。ストーリーについてはいつものことだから何も言うことはない。いつも同じ。事件は家族の中で起きる。というか、人は生きているとなんだかんだと、いろんなことがあるという話だ。4話からなるのもいつものパターン。1年の話で、今回は冬から始まり、秋までの4話。ということは今回で6年になるということか。(スピンオフが1冊あるから7冊で6年!)

最初はあざといなぁ、と思った。でも、すぐに慣れてくる。こういう「昔ながらの大家族」は今ではもうない。だから、ここによみがえらせる。「下町を舞台にして」というのも、最初は「いかにも」と思った。だが、こんなメルヘンは今、とてもリアルで、誰もがあこがれる。

現実世界はこんな風にうまくいくはずもない。でも、ここではきっとこんな風にうまくいくのが当たり前なのだ。予定調和でしかないかもしれないけど、そこがいい。こんな都会のオアシスのような場所を誰もが求めている。だから、みんなこの堀田家に帰りたくなる。今回もとても楽しかった。







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