『アドリブ・ナイト』『素晴らしい一日』のイ・ユンギ監督作品。原作は井上荒野の短編小説。登場人物は、ほぼ2人のみ。舞台は、ほぼ家の中のみ。時間は、ほぼ1日のみ。限定だらけのドラマだ。そういう枷がこの映画の条件である。この条件の中でこのドラマをどう見せるのかが、監督の腕の見せ所。しかも、気持は、ほぼ、語らない。お互いに本音は言わない。彼女が去っていく日。その日は、ずっと雨が降っている。2シーンだが晴れの日がこの家の風景がインサートされる。でも、そこには何の意味もない。なのに、なんだかその一瞬の映像が新鮮で、ここで彼らが過ごした幸せだった時間がそこから想像出来る。
結婚5年目。お互い仕事では成功している。裕福な暮らしをしていることは、彼らの住むこの家を見ればわかる。ここには表面的には何の不満も問題もないはずだ。だが、何かが壊れてきている。夫はそれを繕おうとする。だが、妻はそれを壊そうとする。だから、もうふたりは一緒にはいられない。お互いが別の方向を向いてしまい、修復は不可能な状態にある。なんだかつらいなぁ、と思う。そんなつらさを、映画は静かなタッチで綴っていく。
勝手な女と優しいばかりの男。でも、それは表面的なことで、僕たちは彼らの5年間を一切知らないから、何も言えない。映画はインサートショットですら、そんなエピソードを描かない。目の前の1日だけを、ただそのまま見せるばかりだ。しかも、お互い何も言わないから、見ていて息が詰まる。こんな映画嫌い、という人が、ほぼすべてだろう。わざわざこういう映画が好きだ、なんて言う人はいない。でも、イ・ユンギはそれでいいと思う。自信を持ってこういう映画を作る。
雨の日のさびしい気分がちゃんと伝わってくる映画だ。これは、お話を見せたい映画ではない。彼らの抱えるさびしさをそのまま映像にして見せたかっただけだ。そういう意味では成功している。だが、あまりにそっけなくて、取り付く島もない。
結婚5年目。お互い仕事では成功している。裕福な暮らしをしていることは、彼らの住むこの家を見ればわかる。ここには表面的には何の不満も問題もないはずだ。だが、何かが壊れてきている。夫はそれを繕おうとする。だが、妻はそれを壊そうとする。だから、もうふたりは一緒にはいられない。お互いが別の方向を向いてしまい、修復は不可能な状態にある。なんだかつらいなぁ、と思う。そんなつらさを、映画は静かなタッチで綴っていく。
勝手な女と優しいばかりの男。でも、それは表面的なことで、僕たちは彼らの5年間を一切知らないから、何も言えない。映画はインサートショットですら、そんなエピソードを描かない。目の前の1日だけを、ただそのまま見せるばかりだ。しかも、お互い何も言わないから、見ていて息が詰まる。こんな映画嫌い、という人が、ほぼすべてだろう。わざわざこういう映画が好きだ、なんて言う人はいない。でも、イ・ユンギはそれでいいと思う。自信を持ってこういう映画を作る。
雨の日のさびしい気分がちゃんと伝わってくる映画だ。これは、お話を見せたい映画ではない。彼らの抱えるさびしさをそのまま映像にして見せたかっただけだ。そういう意味では成功している。だが、あまりにそっけなくて、取り付く島もない。