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映画・演劇のレビュー

青い鳥『ちょっと、でかけていますので→』

2014-01-28 22:56:57 | 演劇
 20年先を想像する。今回の青い鳥は、80代の姉妹のお話だ。85歳の姉と80歳の妹。たったふたりになってしまった。身寄りはないのか。そのへんはよくはわからないけど、2人は仲よく施設に入っている。きょうは(というか、「きょうも、」というか)ちょっとお出かけ。

 青い鳥は昔から老人を描くのが大好きだったけど、自分たちが60代に突入して改めて身近な問題として「お年寄り」がテーマとして再浮上。でも、そこは青い鳥だから、悲惨な話にはならない。とても、素敵なおばあちゃんをみせてくれる。彼女たちを見ていると年をとるのも悪くはないな、と思わされる。人にはそれぞれ自分の個性があり、幾つになっても大切なことは自分らしさを失わないことだ。素敵なおばあちゃんであろうとするのではない。自然体で、いろんなことも引き受ける。その結果が素敵なおばあちゃんであればいい、ということだ。

 いろんなことに興味を持ってふらふらお出かけする2人を追って、いつものように自由にお話は展開する。エチュードで作り上げるお芝居は、役者の生き方、感じ方がそのまま出てくる。それをみんなであれこれ言いながら演出(芹川藍)がまとめていく。昔ながらの彼女たちのスタイルが、今もとても心地よい。しかもこの「スモールワールド」シリーズは、できるだけ小さな世界を大切にしている。話を広げないのがいい。だから、反対に世界は広がる。

 2人が見たこと、感じたこと。それはもう現実の出来事ではないかもしれない。こんなふうに自由にあちこちをふらふら出来るだけの体力はもうなくなっていても、彼女たちは心の中で豊かな時間を過ごせれる。そのことを不幸なことだとは思わない。想像の翼を広げると、そこはもう無限の大地だ。まだ、見たことにない場所を、いくつになっても旅していく。


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