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映画・演劇のレビュー

『friends  もののけ島のナキ』

2011-12-11 20:45:49 | 映画
 CGアニメーションの硬いところ、あるいは、へんに柔らかいところ、それが嫌いだ。ここにはアニメに本来あったぬくもりがない。この作品もそうである。ピクサーのアニメに対してはそんなふうには思わないのだが、それ以外のアニメはなんか生理的に受け付けない。(『トイストーリー』シリーズなんかあんなに好きだし、『レミーのおいしいレストラン』も大好きなのに。)シンプルなお話(原作は有名な絵本である『泣いた赤おに』)をとても丁寧に見せてくれ、心地よい作品なのだが、なんか乗り切れない。その上、3Dにする必要もあまり感じないし。と、言いつつも、自分は2D版で鑑賞したのだが(すみません)

 二人の鬼と人間の子供とのやりとりが微笑ましいし、主人公であるナキがだんだん子供に心引かれていく過程もとても自然に描かれてあり、気持ちがいい。人間たちとの交流もストーリー展開に無理がない。何一つ文句のつけようがない映画だと思う。ラストではちゃんと感動させられてしまって、泣きそうになったし。

 だけど、見終えて数日たった今、思い出そうとすると、あまり心には何も残っていない。「よかった」というイメージしか残らず、具体的に何がよかったのか、と問われたなら、返す言葉がない。山崎貴監督作品である。彼の映画はみんな好きだ。同じように単純な話である彼の作品『ALWAYS』や『ヤマト』にはちゃんと感動できたし、その気持ちが持続できたのに。今回はなんか物足りない。

 素朴で心温まる映画に仕上がっている、なんか物足りないのはこれがCGだから、なのか。ということで、最初に話が戻ってくるのだが、でも、なんかそれだけではない気もする。あまりに単純で、優しすぎるから、結果的にそのことが徒になったのではないか。


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