人の心の中に入り込む装置なんていうメルヘンチックな設定を、もう少しうまく生かせなかったのだろうか。アリスの物語を使っているが、その設定も生きていない。心の中なんかに入り込まなくても十分わかることばかりだし。心の中に入らなくては見えなかったものをそこに提示しなくては意味ない。だいたい研究所の所長が彼女の心の中に入り込み彼女が心を閉ざした謎を見つけてくるというお話自体が安易だ。
現実世界の彼女と心の中の彼女の落差も、もっとしっかり見せなくてはいけない。鈍感な恋人のドラマは用意している(なんと彼が主人公だ!)けど、彼の彼女に対する気持ちも描けてない。29歳にもなってここまでバカな男を敢えて描くのならその意味が欲しい。彼がピュアだからだなんて言わさない。だいたい18歳の高校生である女の子にプロポーズすることへのリアリティーが、事故で彼女が失明したから責任をとるためではまるで説得力がない。だいたいこの芝居はここから話を展開していくのだが、彼が同情で結婚を認めてきたことのショックを受けて彼女が心を閉ざすという展開も含めてすべてが空回りしている。
それと、彼女の父親の職業を総理大臣に設定したのも気になる。そんな設定になんの意味もない。だいたいそうすることで話にますます説得力がなくなったのだ。困った。これではリアリティーゼロです。
さらには研究所の所長が彼の同級生で、彼女と彼が大学時代につきあっていたという設定も安直だ。だが、敢えてそうしたいのなら、ドラマの中に、せめて彼らの三角関係くらいは、うまく織り込むべきである。これではお話があまりに単調すぎる。可愛い話だし、一生懸命作っているのはわかるが、それだけにいろんなところでの詰めの甘さが気になる。
作、演出の野原真由美さんは誠実にこの世界を作ろうとしている。だが、視点にぶれがあるから、中途半端な作品にしてしまった。主人公はあくまでもアリスであるはずなのだ。視力を失って孤独と恐怖を感じ、なんとかして立っていたいと思う。彼に支えてもらいたいのに、彼は責任を取って自分と結婚するなんていうバカなことを言う。責任なんかではなく、愛が欲しいのだ。そんな気持ちをまるで理解しない男。彼女が彼のモトカノである研究所の所長と自分の心の中で出会い、その出会いを通してどう変わっていくのか、そこがこの芝居の肝だ。一人のバカだけど憎めない男を通して、2人の女が出会い、変わっていく。それがちゃんと描けてあればこの芝居は成功したはずなのだ。
現実世界の彼女と心の中の彼女の落差も、もっとしっかり見せなくてはいけない。鈍感な恋人のドラマは用意している(なんと彼が主人公だ!)けど、彼の彼女に対する気持ちも描けてない。29歳にもなってここまでバカな男を敢えて描くのならその意味が欲しい。彼がピュアだからだなんて言わさない。だいたい18歳の高校生である女の子にプロポーズすることへのリアリティーが、事故で彼女が失明したから責任をとるためではまるで説得力がない。だいたいこの芝居はここから話を展開していくのだが、彼が同情で結婚を認めてきたことのショックを受けて彼女が心を閉ざすという展開も含めてすべてが空回りしている。
それと、彼女の父親の職業を総理大臣に設定したのも気になる。そんな設定になんの意味もない。だいたいそうすることで話にますます説得力がなくなったのだ。困った。これではリアリティーゼロです。
さらには研究所の所長が彼の同級生で、彼女と彼が大学時代につきあっていたという設定も安直だ。だが、敢えてそうしたいのなら、ドラマの中に、せめて彼らの三角関係くらいは、うまく織り込むべきである。これではお話があまりに単調すぎる。可愛い話だし、一生懸命作っているのはわかるが、それだけにいろんなところでの詰めの甘さが気になる。
作、演出の野原真由美さんは誠実にこの世界を作ろうとしている。だが、視点にぶれがあるから、中途半端な作品にしてしまった。主人公はあくまでもアリスであるはずなのだ。視力を失って孤独と恐怖を感じ、なんとかして立っていたいと思う。彼に支えてもらいたいのに、彼は責任を取って自分と結婚するなんていうバカなことを言う。責任なんかではなく、愛が欲しいのだ。そんな気持ちをまるで理解しない男。彼女が彼のモトカノである研究所の所長と自分の心の中で出会い、その出会いを通してどう変わっていくのか、そこがこの芝居の肝だ。一人のバカだけど憎めない男を通して、2人の女が出会い、変わっていく。それがちゃんと描けてあればこの芝居は成功したはずなのだ。