シリーズ完結編。30年前遠足の途中起きたバス事故で亡くなった子どもたち。彼らの未来への想いが思念となって残り続ける場所を通り抜ける旅。サバイ部の5人はいくつも門を開けて進む。
3部は冒険の終わりから始まる。夢を持たない子どもたちとの出会い、無人の世界で自らと、夢の中で向き合うことになる。彼らは実際に眠りに就き、夢を見る。自分と向き合う時間を通して自閉していく。もう戻ってこれない。もちろんアキラと真一はそこから抜け出して先に進むけど。30年前の事故からずっとここに止まった子どもたちの思念を成就させて成仏させる。ふたりのトラウマになっている亡くなった翠ちゃんへの想いを乗り越える。そんな試練をクリアしてここから始まる高校生活を楽しむことだろう。未来を絶たれた小学生たちと未来に向かう高校生たちの邂逅。
高校入学から始まるこの物語は、わけのわからない冒険サバイバルになり、どこに行き着くのか着地点が見えてこないけど、最後はちゃんと(なんとか)もとの世界に帰ってきた。
この不思議な小説は新しいステージに向き合う子どもたちへのプレゼントだろう。この春、4月にふさわしい小説だった。