大好きな万城目学、久々の新作。しかもこんなのも分厚い本(上下巻で1000ページに及ぶ)を読めるなんてとても幸せ。今回もどんな破天荒な冒険を見せてくれるのかと、ドキドキしながら本をめくる。3兄弟のとんでもない冒険が始まり、どこに行きつくのやら、わけのわからない怒濤の展開にふむふむとうなづきながら、ページをどんどこめくることになる。彼らの不思議な能力がどういうふうに発揮されお話が展開していくのか、興味深々だった。
だけど、山を買って恐竜の骨を掘り出すところまではよかったのだが、そこからなんだかおかしくなる。ライオンを連れた変な女がやってきて自衛隊に入れられるところから、なんとなくこの話の乗れなくなっていくのだ。あれっ? なんだかおかしいぞ、と思いつつ更にページをめくる。イラクに派遣されるところからがお話の本題なのだけど、ここまでで約500ページで上巻が終わるのだが、正直言うと少しつまらなくなってくる。
1日あけて、仕切り直して下巻に突入する。ここからはさらに加速しての怒濤の展開なのだが、気持ちはどんどん冷めてくる。お話が白熱すればするほど、読んでいて「なんだかなぁ、」と思うことになる。ゾンビだとか、時間が止まったままのメソポタミアの遺跡が現れたり、派手なバトルもあり、確かにこれは冒険活劇なのだろうけど、僕はこんなはずじゃなかったのに、と思いつつ仕方なくページをめくることになる。正直言うと、乗れなかった。まるで、楽しめない。どうしてこうなったのか、不明だ。
終章の謎解きも含めて、なんだかこの壮大なホラ話に乗り切れなかった。「宇宙人とかないよな、」と思ってしまう時点で僕はこの小説を楽しめてない。そういうことのひとつひとつを笑いながら受け入れるのが万城目作品の魅力であるはずなのに。とても残念だった。