なんとなく、期待していたのに、がっかりだ。かなり前から宣伝していたし、ステイホームが続く日々を描くなんて、コロナ禍での時間を象徴的に描く映画ではないか、と。それをどういうふうに見せてくれるのか楽しみだったのに。(というか、2020年作品なので2021年公開したらタイムリーな映画だと思ったけど、なぜか2023年になった今頃公開なんだろう?)SFではなく、ドキュメンタリーのような作り方をしていて、最初の部分は面白そうだったが淡々とした描写はすぐに飽きてくる。
まるで説得力のないお話で、ストーリーは退屈。お話の進展もないまま、だらだらと日常が描かれていく。家の中に閉じ込められた人たちが過ごす時間が描かれる。突然出現した謎のピンクの雲。10秒間それに包まれると死ぬ。だから窓を閉めきって、外との接触を断ち切るしかない。いつまでもそれが続き、何年も過ぎていく。不倫男女は、仕方なく夫婦のような生活を続け、子供が生まれてその子がどんどん成長していく。何年こんなことをしているのか。政府はどういう対応をしているのか。大体食事とかどうなっているのか。外部との接触も不可なら、食糧配給はどうしているのやら。ネットで外部とはつながっているけど、誰も家から(あるいは、職場から)出られないまま何年も無策なままってありえない。
こんな安易な思いきだけでそれ以上何も考えないで1本の映画を作るなんてふざけている。ロックダウンなんていうSFのようなお話が現実になった時代を生きた我々にとってこの映画の描く世界は嘘くさいものでしかない。短編映画を作ってきた監督の長編デビュー作らしいが、長編映画の作り方がわかっていないようだ。これも短編としてならそれなりには見ていられる映画になったのだろうが。