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映画・演劇のレビュー

『トゥ・ザ・ワンダー』

2013-08-17 23:27:30 | 映画
 テレンス・マリックはもう普通の劇映画を撮らないのか? 前作(『ツリー・オブ・ライフ』)に続き今回もお話ではなく、映像詩。断片の数々を順番もバラバラで見せられる。意識の流れに沿っているのかもしれないけど、こんなの独りよがり。美しい映像を見せられて、それだけで堪能するのなら、いいけど、普通それだけで映画だ、と言われたら、なんか退く。無理。退屈。途中で帰る人もいた。何人も。ふつうない。お金出してわざわざ見に来たのだから、我慢するはず。でも、我慢が効かなかったのだろうなぁ。仕方ないです。ラブストーリー見たかったのだろうなぁ、普通。騙された人、ごめんなさい。マリックに代わって僕が謝る。怒るよな、普通の人なら。

 移ろいゆく恋。あんなに愛し合ったのに、心は離れていく。よくあるような、どこにでもあるような、恋物語。でも、こんなふうに見せられると、とても新鮮。ため息がでるほど、美しい。僕は好きだから、また、マリックやってるよな、好きだなぁ、で済ます。でも、普通のお話としてラブストーリーを期待した人にとっては、これはイライラする映画だろう。

 普遍を描きながらも、この見せ方をすると、特別であることがわかる。どこにでもあるような恋なんかない。それぞれ、かけがえのないものだ。瞬間の積み重ねや、時間をどんどん進めたり、飛ばしたりしながら、こんなふうにふたりのドラマを見せられた時、そこにあるものがこんなにも、際立つ。素晴らしい作品だ。もちろん嫌いな人も多いだろうけど。
 

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