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映画・演劇のレビュー

オリゴ党『プラスチック爆弾とシュレディンガーの猫』

2014-10-06 21:07:30 | 演劇
 オリゴ初のカフェ公演を岩橋さんはとても楽しそうにやっている。カフェであることを、とことん活用してそこで遊ぶ。その空間を利用してできることをやり尽くそうとする。不自由すら自由に遊ぶのだ。外からの光や音だって取り込んで、そんなのかまわないよ、と(まぁ、ことさらそれを強調するのではないけど)自然体の芝居を目指す。

 舞台上手手前、というか客席に食い込んで、そこにテーブルを用意してある。そこにはカップルを配置している。会場はカフェだが、その空間は一応劇場仕様にしてある中で、そこだけが従来のカフェの趣だ。そこでおしゃべりしている二人がこの芝居のストーリーテラーとなり、3つのエピソードを見せていく。

 一つ目の話は姉と妹の話だ。今までも何度かやっている岩橋さんお得意の不条理未満の不条理劇。芝居の台本を書く姉と、そこにやってくる妹。

 二つ目の革命を巡るドタバタ劇は、その軽さも含めて、ギリギリのところで全体の枠の中に収まっている。このカフェの2階の部屋を借りて事務所としているとある劇団のお話。でも、彼らがどこかで公演をしているのを見たことはない。では、彼らは何者なのか。というところから、お話に入り込む。

 2本終わったところで、ティーブレイクが入る。10分ほどの休憩だ。2時間の芝居で、短編2本と中編1本というのはなかなかバランスがいい。後半はストーリーが明確な中編作品。オチも含めてわかりやすい。もちろん、こちらもまた一種の不条理劇だ。でも、ことさらそういう面を強調するわけではない。ちょっとした小話の域は出ない。ホラーにはしないし、日常のほんのちょっとしたかたすみにある不思議なこととして、気にしなくてもいいし、スルーしてくれて構わないようなできごと、だと思わせる。

 カフェでおしゃべりしている2人のたわいもない雑談として、終われば十分なお芝居。そういう軽やかさがいい。

 ただ上演時間の2時間10分は、少し長いかも。当初の予定通り1時間40分に収めたなら、スリムでよかったかも。岩橋さんはどうしても、ほんの少し長くしてしまう。それでバランスを欠く。とてもおしゃれでスマートな作品を目指したのに、詰めが甘くてかっこよくはならない。でも、そこがいい。(という気もする)


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