1974年に廃山となった島。炭坑を中心に栄えたこの島は一転廃墟と化す。それから35年。だれも省みることもなかったここに、やってきてコミューンを作る若者たち。かって炭坑の町として栄えた名残がそこここに残る無人島。2つの時間をつないで、新たな歴史が描かれていく。かってここで暮らした人たち。やがて、閉山されるのを待つ時間の中、それでもただ静かに日常生活は続く。自分たちの生活が奪われていく不安を抱え生きていく。
学生運動崩れの男、前園(幸野影狼)はここで人目を忍んで生きている。彼は会社の野球部のマネージャーをする青野(横田江美)が好きだ。だが、彼女への思いを心に秘めて生きている。自分はもう死んだような存在だと思っている。高校時代の同級生が本社からここにやってくる。彼が前園に絡んでくる。前園は彼のことを覚えていない、という。本当に記憶にないのか、とぼけているだけなのか、それは明確にはされない。ただ、彼の存在を通して逃れたい過去と向き合うことになることは事実だ。ただひたすらバットを振り続けるという行為に没頭する。そんな彼の姿を芝居全体の中心に据えてドラマは淡々と展開する。
高校時代、みんなから注目を集める存在だった。大学では学生運動に情熱を傾けた。だが、挫折して、ここに流れてきた。ここで世捨て人のように、ひっそりと人知れず暮らしたかった。彼が何を想い何を考え暮らすのか。そして、なぜ死んだのか。(炭坑の落盤事故なのだが)それを残された娘を通していかに描くのか。
今回のリーディング公演は、11月の本公演に向けてのただのプレゼンではない。ここで提示されたさまざまな可能性はこれだけでも、十分に刺激的だった。土橋淳志さんがこれを通して、どんな未来を僕たちに見せてくれるのかが、今からとても楽しみだ。学生運動の時代の挫折と、21世紀の先の見えない時代を重ね合わせて、そこからどんな答えを示してくれるのだろう。ワクワクする。
学生運動崩れの男、前園(幸野影狼)はここで人目を忍んで生きている。彼は会社の野球部のマネージャーをする青野(横田江美)が好きだ。だが、彼女への思いを心に秘めて生きている。自分はもう死んだような存在だと思っている。高校時代の同級生が本社からここにやってくる。彼が前園に絡んでくる。前園は彼のことを覚えていない、という。本当に記憶にないのか、とぼけているだけなのか、それは明確にはされない。ただ、彼の存在を通して逃れたい過去と向き合うことになることは事実だ。ただひたすらバットを振り続けるという行為に没頭する。そんな彼の姿を芝居全体の中心に据えてドラマは淡々と展開する。
高校時代、みんなから注目を集める存在だった。大学では学生運動に情熱を傾けた。だが、挫折して、ここに流れてきた。ここで世捨て人のように、ひっそりと人知れず暮らしたかった。彼が何を想い何を考え暮らすのか。そして、なぜ死んだのか。(炭坑の落盤事故なのだが)それを残された娘を通していかに描くのか。
今回のリーディング公演は、11月の本公演に向けてのただのプレゼンではない。ここで提示されたさまざまな可能性はこれだけでも、十分に刺激的だった。土橋淳志さんがこれを通して、どんな未来を僕たちに見せてくれるのかが、今からとても楽しみだ。学生運動の時代の挫折と、21世紀の先の見えない時代を重ね合わせて、そこからどんな答えを示してくれるのだろう。ワクワクする。