気がつくと1日で上巻を読み終えている。なんだかサクサク読んでしまう。たいしたことは書かれていない。だけど、癖になるようにずっと読み続けている。さすがにもったいないから、1冊で止めた。
横道世之介38歳。(すぐに39歳になったけど)18歳の時に上京してもう20年になる。相変わらずの毎日だ。特別な事件もなく、穏やかに毎日が過ぎていく。9月から始まった小説は2月に至る。
あまりに何もないから、心配になるくらいだ。長編小説だけど、まるで芸のない平凡なお話。さすがに「大丈夫か、これは」と思う。だけど、世之介はマイペースだ。もちろん吉田修一も。
先行する2作品以上に描かれるエピソードがさりげない。世之介ってこんなんだったっけ、と思う。新聞連載だったからかもしれないが、ひとつひとつのエピソードが短い。ただそんな小さな話の連鎖がとてもいい。何も考えず読み進めるから、気がついたら結構長いはずなのに、あっという間に読み終えてしまった。1年くらい連載した6ヶ月分を1日で読み終えるなんて。なんだかすまなくなってきた。
明日から下巻。また、1日で読み終えるのか。