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映画・演劇のレビュー

『ミスターガラス』

2019-02-15 18:28:58 | 映画

 

シャマランの映画で1番好きなのは、2作目の『アンブレイカブル』だ。『シックスセンス』で衝撃のデビューをした後、それを遥かに超える衝撃を与えた映画である。でも、この衝撃はちょっと常軌を逸していた。それはないわぁ、という声もちらほら。それくらいにあの映画はむちゃくちゃな展開を見せる。前半はミステリで後半にはヒーロー物に様変わりする。そんなむちゃな映画に続編を作る。しかも20年近くの歳月を経ての。それくらいに彼の中では思い入れのある作品だったのだろう。今回は前半がヒーロー物。後半は密室サスペンス。なのだけれど、なんだか弾まない。あれっ? って感じ。

 

世界が狭くなったら映画まで狭くなる。見ながらそれでは意味がない、と思う。狭くなるところから更に奥行きが生まれ恐い話が展開していくことを期待していたのに、まるでそういうんじゃないのだ。スランプ・シャマランはこの渾身の企画でも継続中。あっ、と驚く発想なんて、続かない、ということか。

 

お話の仕掛けで見せる彼の映画はちょっとしたこけおどしなのだが、その奇想天外な発想に今までは乗せられてきた。でも、才能は枯渇する。思いつきがどこまでも持続したなら確かに凄い。だが、それはない。今回ここまでお話が尻すぼみになるとは、思いもしなかった。

 

これならもっとヒーローの活躍を見せてくれて、単純なアクション映画にしたってよかったのではないか。だけど、それなら本家であるマーベルやDCに任せるべきだろう。シャマランでは荷が重いはずだし、そこは彼のテリトリーではない。ホラーが彼のテリトリーなのだから、これだって牢獄に閉じ込められたところから本領を発揮するはずだろう。別々の場所に収監された3人のドラマをどう展開させていき、サスペンスを盛り上げるのかが腕の見せ所だったはずだ。戦わないヒーロー(戦えないヒーロー)を通して、緊張感を高める演出が彼なら出来たはずだ。この出来では残念というしかない。


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