「七階闘争」「廃墟建築士」「図書館」「蔵守」の4編からなる短編連作。『となり町戦争』でデビュー以来独自なスタンスで不思議な世界を作り続ける彼の作品はだんだん「ただの不思議ワールドもの」になっていく。これでは星新一のショートショートのネタにでもなりそうなレベルだ。星新一はあれだけの分量の作品を量産したが、彼はひとつのネタで短編か中篇にする。なのに中身がショートショート並ではちょっとかなしい。
このアイデアをどうして長編として構成できないのだろうか。『となり町戦争』がおもしろかったのはちゃんと長編として緊張を持続出来たことによる。なのに、その後は泣かず飛ばずである。そこそこおもしろい小説にはなってるのだが、後一押しが足りない。今回の4編もいずれも目の付け所がいいから、これをうまくまとめて長編にできたらきっと魅了的な作品になる。なのに、独立させたことで、インパクトに欠けるものになったのが残念だ。
7階が失われていくことを阻止する男女の話は2人の関係性から『となり町戦争』と酷似している。ラブストーリーとして話を膨らますことと、世界観を組み立てること。それで傑作が生まれたかもしれない。
以下いずれの作品も同じだ。構造が似ているからそうなるのだろう。ということは彼はデビュー以来ずっとワンパターンに終始する、ということだ。自分の殻に閉じこもって作家活動するのも悪くはない。だが、読者に職人として確かな満足を与えれなくては、作家として失格である。お話を考えるのが小説家ではない。物語作家ならそれでもいいのかも知れないが。ありきたりのことを書くが、作家なら人間を描いて欲しい。
このアイデアをどうして長編として構成できないのだろうか。『となり町戦争』がおもしろかったのはちゃんと長編として緊張を持続出来たことによる。なのに、その後は泣かず飛ばずである。そこそこおもしろい小説にはなってるのだが、後一押しが足りない。今回の4編もいずれも目の付け所がいいから、これをうまくまとめて長編にできたらきっと魅了的な作品になる。なのに、独立させたことで、インパクトに欠けるものになったのが残念だ。
7階が失われていくことを阻止する男女の話は2人の関係性から『となり町戦争』と酷似している。ラブストーリーとして話を膨らますことと、世界観を組み立てること。それで傑作が生まれたかもしれない。
以下いずれの作品も同じだ。構造が似ているからそうなるのだろう。ということは彼はデビュー以来ずっとワンパターンに終始する、ということだ。自分の殻に閉じこもって作家活動するのも悪くはない。だが、読者に職人として確かな満足を与えれなくては、作家として失格である。お話を考えるのが小説家ではない。物語作家ならそれでもいいのかも知れないが。ありきたりのことを書くが、作家なら人間を描いて欲しい。