まさかの大ヒット中のこの映画はTOHOシネマズで拡大公開されている。大阪公開2週目からは、梅田ではなんと1番スクリーンでの終日上映となった。キャパ700以上の大劇場なのに、しかも平日の夕方なのに、ほぼ満席状態。驚くべき大ヒットを記録している。制作費250万円のノースター、自主映画がTOHOシネマズ自慢のラージスクリーンでロードショー公開されるという奇跡が、この夏起こったのである。これを目撃しないわけのはいかないと思い、ちゃんと1番スクリーンで見るため先々週、劇場にむかったのだった。あれから、もう10日くらいたったけど、今もまだ大ヒット中である。(でも、見終えたときには、「なるほど、」とは思ったけど、ちょっと期待外れだった。)
ラストのスフィンクスには唖然とさせられたけど、映画自体は、僕は評判ほど、すごいとは思わない。映画自体よりも、この映画が巻き起こした社会現象のほうがすごいと思った。あまりに評判がすごいので、期待度MAXで見てしまったから、かもしれない。確かに斬新なアイデアで、37分ワンカットの冒頭(B球ゾンビ映画、も面白い)以上に、その後の楽屋オチでしかない笑える1時間は面白い。
映画はそこをねらって作られてある。アイデア勝負の作品なのだ。作り手の熱意がしっかりと伝わってくる。それは面白いものをみせてやる、という熱い思いだ。もちろん、アート映画ではなく、娯楽映画、娯楽活劇だ。それがいい。
B級ゾンビ映画+コメディという枠組み。その上でアイデア勝負の企画もの。安っぽさの極み。だが、同じく低予算ホラーの大ヒット作『ブレア・ウイッチ・プロジェクト』や『スナッフ』以上に仕掛けが上手い。とてもよく練られてあるし、決して単純ではない。そこが観客から熱い支持を受けた理由だろう。ラストではなんと感動して泣いてしまう観客もいたはずだ。あのスフィンクスはまさかのラストでもある。この映画は、観客も思いもしないところに連れて行く。
そう考えると、これって、スピルバーグが、キャメロン、シャマランが登場した時のようなとんでもなさ、ではないか、とも思えてくる。なるほど、この手の映画は日本映画には今までなかったことだ。そんなこんなで、なんだか、この監督の次回作が楽しみになってきた。彼がメジャーで大予算の映画を任されて、そこで何を作るのか、楽しみだ。