ふつうなら1冊目から読むはずだ。でも、たまたま手にしたのがこの2冊目で、1冊目が貸し出し中だったから、これを読むことにした。まるで読む本がなかったし、時間もないからこれで手を打ったのだが、なかなか楽しくて得した気分。マンガみたいな表紙はいささか恥ずかしいけど、宮木あや子は『帝国の女』を書いた人だし、このタイトルである、今回も絶対お仕事小説なので、安心か、と思った。
それにしても、前作のスピンオフだなんて、それはないわぁ、と読み始めた最初は思う。主人公がどんな人物なのかもわからずに、その周辺の人たちのお話を語られても、どうよ、と思う。でも、大丈夫。みんなそれぞれ魅力的な人たちばかりで、これはぜひ、本編の『校閲ガール』も読もう、と思わされた。めでたし、めでたし。
でも、なんかなかなか1冊目が返却されないから、その前に『憧憬☆カトマンズ』(こちらは派遣社員の話)も読んでしまった。マンガみたいな小説なので、これも簡単に職場までの2往復で読み切れる。おもしろいから、ページを繰る手も早くなるし。読みやすい。
『帝国の女』を読んだ時、なんだ、この楽しさは! と興奮させられたけど、今回の2冊も同じように楽しい。仕事がこんなに楽しいなんて。しかも、結構大変なのに。『校閲ガール ア・ラ・モード』は出版社。ちなみに、『帝国の女』はTV局で、帝国という凄まじいタイトルは、舞台となる(ヒロインが勤務する)「帝国テレビ」のこと。ようするに、明らか「日本テレビ」がモデルね。さすがに実在するテレビ局名を使えないからこんなタイトルになったのだけど、絶対この大仰なタイトルは勘違いするよな、と思う。(まぁ、『日本の女』なんていうタイトルも大概だけど。)
今回は出版社で、これもまた実在の社名をもじったような名前で、なんだかなぁ、と思う。(平凡社ならぬ景凡社!)問題は多々あるけど、なんか、みんなそれなりに生き生きしている。大切なことはそこなのだ、と宮木さんは言う。(たぶん)ノーテンキで、自分本位。でも、正義感が強くて、ちゃんと筋を通さなくては納得しない。いつも同じタイプのヒロイン。ワンパターンだけど、そこがいい。痛快爽快で元気になれる小説なのだ。
余談だがこの2冊の直前に荻原浩の『神様からひと言』も読んでいる。これもたまたま。こちらも、同じような「お仕事小説」だけど、(しかも、読んだら元気になれる、と書いてあるけど)宮木あや子のようにふっきれてないから、ダメ。悪い小説ではないから、一応最後まで読んだし、後半はそれなりに楽しかったけど、そこまで。