『パッセンジャーズ』

　正直言うよ。納得いかない。『彼女を見ればわかること』のロドリゴ・ガルシアがどうしてこんな映画を撮らなくてはならないのか？Ｂ級映画が悪いとは言わない。いつまでたってもドキドキさせてくれないことも、目を瞑ろう。だが、ここまで引っ張っておいて、あの結末はないだろ。バカにするのも程々にして欲しい。ガキの使いではないのですから、もう少し考えて映画は作りましょう。

　衝撃のラストなんていう宣伝に騙されてはならない。だいたい衝撃すぎてあきれたよ。後半、たぶんあれだな、なんて思ったが、それでももう少しひねりがあるものと信じた。なのに。これは、「謎が謎を呼ぶ」なんていう常套句が安っぽく使えそうな映画だ。安すぎる。しかも、感動を押しつけるなんてタチが悪い。

　まぁ、雰囲気は悪くない。デビット・リンチならこの手の映画を上手くまとめるはずだ。だが、この監督は駄目だ。話があまりに単純すぎた。しかも、ありふれたカンドウものに仕立てて観客に何も考えさせない。思考停止したまま、感動の押し売りに耐えなくてはならない。拷問である。

　もしかしたら、『アンブレイカブル』かよ、なんて思いながら見ていた。まぁ、このまともな映画なら、あの凄まじい映画（もちろん『アンブレイカブル』です）のようなぶっつぶれた展開はしないだろうとは思ったが、それでもこれはあんまりだ。シャマランでも、もうはやらない時代にこんな似非シャマランが登場すると思いもしなかった。ネタばれになるから、書けないが、まぁ、書いてもどうってことないし、結末は書かない。

　アン・ハサウエイは白痴美人で、まともな演技は出来ない。口を半開きにして、ただぼっとしてるだけ。「演技派女優に成長」（チラシ裏）なんて宣伝をよく出来たものだ。その文を書いた人はきっとこの映画を見てないな、なんて。彼女のバカっぽい顔を見ていたら、彼女が精神科医だなんてだれも信じないだろう。と、いうことはこのキャスティングはうまくいってるということか。それにしても映画ならもう少し真面目に話を考えましょう。